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私の髪を梳かしてくれる左之さんの手が、とても心地よい。
原田「聞いたぜ、今日は大活躍だったそうじゃねえか。お千を守って浪士と戦ったって?」
名前「えへへ、ありがとう。……だけど私、もっと強くならなきゃ。自分がどれだけ弱いのか、すごくよくわかったの」
この結い紐の無くなった髪だって、弱さの証拠だ。
あの結い紐は、私の身代わりになってくれた。
ポツリ、ポツリとそう話せば、左之さんは私の頭に手を乗せて、顔を覗き込んでくる。
原田「過程がどうであれ、お前が勇敢に立ち向かって勝ったことに変わりはねえよ。お前は自分の守るべきもののために戦った。強いよ、お前は」
できたぜ、と言って左之さんは笑った。
私の髪には、いつものように赤い結い紐が付けられていた。
原田「今日から此方の結い紐が、お前のお守りだな」
名前「……お守り……うん、そうだね!」
私の、お守り。
私がニカッと笑って見せれば、左之さんも笑ってくれた。
そして左之さんは、私の肩をそっと抱き寄せる。
………え?
私の目の前には、左之さんの鍛えられた大胸筋が。
えっ、何これ何のサービスですか。
原田「……よく頑張ったな、名前」
名前「う、うん………」
突然のことにドキマギしていると、優しく頭を撫でられる。
左之さんの鼓動が少しだけ早くなった気がするけど、気のせいだよね?
……ああ、でもすごく安心する。
──── もう少し、このままでいたいな。
それが言葉になることはなく、私はいつしか眠ってしまっていたのだった……。
(すごく温かいの)
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