桜恋録 | ナノ


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土方「……何か証拠はあるのか?」



と、土方さんが疑うような目で私を見てくる。



名前「えぇ……証拠って言われてもな……」

土方「お前さっきから散々未来から来ただの異世界から来ただのほざいてただろうが。それなら証拠ぐらい出してみろ」



そんなこと言われても……。

とりあえず私は制服のポケットをゴソゴソと漁ってみる。
ポケットから出てきたのは、



名前「iPhone、ハンカチ、ティッシュ、……って、iPhoneあるやん!証拠はこれです、このiPhone!!」



……最初からこれ見せればよかった。
やっぱり私って馬鹿だ。



藤堂「あいふぉん?何だそりゃ?」



可愛い!可愛いよ藤堂さん!
首を傾げる藤堂さんが可愛い!!



名前「これで遠くにいる人と会話したり、メール……えぇっと、文みたいなものを送ったりできます。あとは音楽を聴いたりとか」



これでどうだと言わんばかりにiPhoneを見せびらかす。

しかしみんなは、眉を顰めて私を見るばかりだった。
あ、あれ?何か反応イマイチ……?



永倉「なんだそりゃ?想像が付かねえなぁ……」



そ、それもそうか……。

テレビどころかラジオや電話も無い時代。
そのツールすら知らないのに、これを理解しろっていう方が難しいかもしれない。

何か手っ取り早く試せる物はないかな……。
奇跡的に充電は90%くらいあるけど、念の為あんまり使いたくない。
YouTubeはWiFi無いから容量食うし……。


そこで私はふと、写真の存在を思い出す。
まだ先の話だろうけど土方さんも近藤さんも写真が残っているし、カメラ機能が一番いいかもしれない。

でかした苗字、ナイスアイディアだ!!


早速iPhoneを操作して、カメラを起動した。
カシャッと無機質な機械音が広間に響く。

撮ったのはなんだか一番害の無さそうな(ちょっと失礼かも)藤堂さんだ。



名前「これ、簡単に写真が撮れるんですよ。あ、魂抜かれるっていうのはハッタリなのでご心配なく。私も写真撮りますけどこの通り生きてます」



撮った写真を見せれば、藤堂さんはくりくりの目をさらに大きく見開いた。



藤堂「すげぇ、写真だ!」

永倉「しかも何だこりゃ、色まで付いてるぞ!」

土方「……これだけじゃまだわからねぇだろうが」

藤堂「だってさ、こんな機械見たことねぇじゃん!」




……こうして、長い話し合いが私の目の前で繰り広げられ。

その結果、私は監視対象という理由で新選組の屯所でお世話になる事になりました。

未来から来たというのは明らかに怪しすぎるし、斎藤さんや千鶴ちゃんの名前を知っているという事は、どこかのスパイではないか疑われてしまったのだ。

でも、家無し金無し仕事無しの状態から一気に寝床確保する所まで来たぞ!
苗字はポジティブに行くぜ!!


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