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名前「 ────千姫は、私が守る!!」
千姫「名前ちゃん………」
私は腹を括って、男をキッと睨みつける。
……長期戦に持ち込まれたら、女の私に勝ち目はない。
腕力も体力も体格も、何もかも奴に劣っているからだ。
──── でも、何としてでも倒す!!!
「ぐっ…………」
何故かその男は顔を顰めると、少しだけ後退った。
しかしそれも束の間のことであった。
「うおおおおおおおお!!!!」
男が雄叫びを上げて刀を振りかざしてくる。
──── きた!!!!
千姫「名前ちゃん!!」
私は瞬時にその攻撃を交わす。
「ちっ……!」
私はほんの一瞬、男がバランスを崩したところを見逃さなかった。
瞬時に私は懐から苦無を2本取り出し、男の両手にめがけて投げつける。
──── ドスッ ドスッ
「ぐっ、ああああああああ!!!」
どうやら2本とも命中したようだ。
近距離で投げたためかなり深く突き刺さったらしく、男の手から血が吹き出す。
うっ……気持ち悪い……。
だが、そんなことを思っている場合ではない。
名前「おりゃあああああああ!!!!!!」
私は刀を振りかざし、男の刀に向けて力いっぱい叩きつけた。
ガキイィィン!という金属音が響き渡り、刀は男の手から離れて地面に叩きつけられる。
「このっ………ガキッ………!」
男が拾う前に、私はその刀を蹴飛ばした。
そして男が刀を拾おうと手を伸ばした瞬間を狙い、私は自分の刀の柄で力いっぱい男の鳩尾を殴る。
「ガハッ………」
男はフラフラとした足取りになった。
鳩尾を抑えて、前かがみの姿勢になっている。
"斎藤「 ──── 一撃を加えたからといって、相手の意識がある限りは油断するな。迷わず急所を突け。一瞬の迷いがあんたの生死を分ける 」"
頭の中で、斎藤さんの言葉が木霊する。
名前「 ──── 斎藤さん!!あなたの教えを守りましたああああ!!!」
そう叫んで私は、刀を柄を今度は男の人中に叩きつけた。
「ぐあっ…………」
男はうめき声をあげると、ドサッとその場に倒れ込む。
男は倒れたまま、ピクリとも動かない。
た、倒した……のか………?
さすがに死んではいない……よね?
千姫「 ──── っ名前ちゃん!逃げるわよ!」
名前「う、うんっ!」
千姫の声で私はハッと我に返る。
そして今度は千姫に手を引かれて、一目散にその場から走り去るのだった……。
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