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……ていうか今何時だ?
わからないけど、屯所を出てからまだ30分くらいしか経っていないはず。
千姫を1人で歩かせて、大丈夫かな?
もしかしたらさっきの男がブチ切れて追いかけてくるかもしれない……。
まだ時間はあることだし、少しの間は千姫の傍にいた方がいいかもしれない。
名前「ね、千姫。これからどこか行くの?」
千姫「ええ、少し買い物をしたくて」
名前「私も一緒に行こうか?さっきの男がまた来たら危ないし……1人よりも2人の方が安心じゃない?」
千姫「あら、本当?じゃあお願いしてもいいかしら?」
名前「もちろん!」
さりげなく可愛い女の子とのデートを取り付けた私。
いや違うからね、千姫を守るためだからね!
まあ、デートしたかった気持ちが7割だけど!!!
──── 千姫が向かったのは小間物屋。
江戸時代の雑貨屋さんみたいなものだ。
なんでも、いつもお世話になっている人に贈り物をしたいのだという。
なんていい子なの……!!
名前「わああ!すごいっ…!」
小間物屋には櫛や簪、口紅などの化粧品もあれば日用品もたくさん売っている。
これこれ!!
こういう所に来たかったんだよ、私!!
……店の中をくまなく見ているうちに結構時間が経っていたらしい。
千姫「名前ちゃん!ありがとう、もう終わったわ」
名前「はーい!」
千姫に声をかけられて振り返れば、千姫は風呂敷を抱えてニコニコしていた。
可愛い。
私は千姫に促されてお店を出て、一緒に歩き出す。
千姫「今日は本当にありがとう。千鶴ちゃんの他にも女の子のお友達ができて本当に嬉しいわ」
名前「私も嬉しい!楽しかった!」
来る時にたくさんお話をしたおかげで、私たちはすっかり仲良くなっていた。
女の子の友達増えた!!嬉しすぎるんだが!!
千姫「あの、名前ちゃん。実はあなたにね、」
千姫は何かを言いかけて、風呂敷の中を探る。
──── その時だった。
「やっと見つけたぜ」
……聞き覚えのある声がした。
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