桜恋録 | ナノ


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名前「 ──── だーかーらー、私は異世界から来たんですって!」



……もう何回このセリフを言っただろうか。

縄で縛られ、正座させられ。
そしてここ、新選組の屯所の広間には、かの有名な幹部達が揃っている。


嬉しいけど!!
みんなに会えて嬉しいけども!!!

こんな会い方したくなかったよ、怖すぎるよ!
お願いだからそんな睨まないで!


土方さんはもちろんのこと、原田さんや藤堂さん、永倉さんまで睨みを効かせている。

沖田さんは……笑顔だけどなんかどす黒いオーラが……。
斎藤さんは無言でこっちを見ていて、その目は凄く冷たい。

そして愛しの千鶴ちゃんは物凄く遠くにいる。
何この状況死にたい!!



土方「だっから何回も同じこと言わせんじゃねぇ!意味がわからねぇって言ってんだろうが!!」

名前「すいませんでした怒鳴らないでください怖いです!そして出来れば千鶴ちゃんの近くに座りたいです!」

沖田「……どうして千鶴ちゃんの名前まで知ってるのかな?」

名前「(*゚ロ゚)ハッ!!」



しまったあああああああああ!!!!(本日二回目)
もうダメだ私、口開く度にボロが出る!

その場にいたみんなの目が一気に鋭くなり、殺気が増した。

泣きたい!もう泣きたいよ!!!
こういうトリップ系って何だかんだ上手くいくと思ってたのに、馬鹿な私には無理みたい!辛い!!


……しかしここで救世主が現れた。

土方さんの隣に座っていた近藤さんが、「まあまあ!」と割って入ってきてくれたのた



近藤「そんな殺気を向けるな、彼女が怯えているじゃないか」



近藤さんんんんん!!!
あんたなんていい人なんだ!!!!

苗字名前、貴方に一生ついて行きます!!
たとえ火の中水の中草の中スカートの中!!



近藤「ええと……まず、君の名前を教えてくれないか?」

名前「はい!苗字名前です!」



藁にもすがる思いでとにかく元気よく答えると、「うむ、元気でいい子だな!」と近藤さんが笑いかけてくれた。

いい人!!めっちゃいい人だよ近藤さん!!好きです!!



近藤「それで……先程から君は異世界から来たと言っているが、それは本当なのか?」

名前「はい。信じてもらえないとは思いますけど、私はこの時代から150年以上先の令和という時代からやって来たんです。本物の刀なんて初めて見ましたし、着物も着れません。未来から来たこと以外はごく普通の人間です。だから土方さん、そんな般若みたいな顔しないでくださいな」

土方「斬られてぇのか」

名前「嘘ですごめんなさい!!」



何故私はいつも一言余計なのだろう。

すると、沖田さんの隣に座っていた斎藤さんが立ち上がってこちらに刀を向けてきた。
これはあれだ、副長を侮辱するなと言わんばかりの顔だ。

ねえごめんってば!!
怖いから刀向けないでお願い!!

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