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小雪「 ………え〜っと、なんだかややこしい事になってきましたし、1回仕切り直しましょうか!改めてちゃんと自己紹介をしましょうよ!」
鬼灯(来)「そうですね、その方が良さそうです」
と言った鬼灯の横では、金棒の下に埋まる白澤(来)の姿が…。
またもや鬼灯(来)から制裁を受けたようだ。
一方で白澤(海)に抱き締められたままのティールは、少し不安気な表情を浮かべて白澤(海)を見上げている。
そんな彼女を、白澤(海)が優しく撫でた。
白澤(海)「大丈夫だよ、自己紹介するだけだからね」
ティール「……うん」
アイリア「そうだよティールちゃん、大丈夫だよ!……ってことで、誰からいきましょうか?」
小雪「はいはーい!ここは言い出しっぺの私から!」
アイリアの言葉に、ぴょんっと飛び跳ねながら元気良く返事をしたのは小雪である。
小雪「閻魔大王の第2補佐官の小雪です!歳は2000歳くらい、好きな食べ物はリンゴとルイボスティー、趣味は暴れん○将軍鑑賞です!特技は、小銭が落ちる音でどの小銭か当てられます!あと、10人くらいだったら同時に話を聞けます!あとは、実は大口真神っていう狼です!よろしくね」
白澤(海)「ちょっと待って、いきなり情報量が凄い」
アイリア「…えっと…暴れん○将軍…?小銭…?狼…?」
鬼灯(来)「小雪さん、一気に話しすぎですよ。皆さんが困惑しています」
小雪「あわわっ、ごめんなさい!癖で、つい喋りすぎちゃうんです…。名前だけ覚えてくれればOKです!」
お喋りな小雪は、自己紹介となると話したいことが溢れ出てくるらしい。
いきなりマシンガントークを披露したことで皆が困惑していることに気づき、小雪は慌てて謝罪をした。
すると、そんな小雪に注がれる視線。
ティール「……」
小雪「……ん?」
ティール「…狼…さん…?」
小雪「っ!うん、そうだよ!狼なの!ほら、これ」
人見知りの激しいティールが興味を持ってくれたことが嬉しかったのか、小雪はパッと目を輝かせた。
そして自分の狼の耳や尻尾をティールに見せている。
ティール「……!!」
アイリア「えっ、凄い!その耳と尻尾、本物だったんですね!」
小雪「本物だよー!触ってみる?」
アイリア「えっ、いいんですか!?」
小雪「もちろん!どうぞ」
アイリア「わあ〜っ!ふかふかっ!」
ティールが少しだけ目を輝かせる一方で、早速小雪の尻尾に手を伸ばしてもふもふを堪能するアイリア。
小雪「(び、美少女が…私の尻尾を触ってくれてる…めっちゃ喜んでくれてる…!!)」
鬼灯(来)「小雪さん、顔がだらしないですよ」
小雪「やべっ、すみません」
アイリア「もふもふ〜っ!ありがとうございます!私、アイリアです!」
小雪「アイリアちゃん!敬語使わなくていいよ、よろしくね!」
アイリア「うん、よろしく!」
さすがはコミュ力2トップの小雪とアイリアだ。
もう既に打ち解けているようである。
ーーー
お互いにすぐに仲良くなったアイリアと小雪。
小雪はというと、アイリアの事をもっと知りたいようで、自己紹介を勧めていた。
小雪「アイリアちゃんも、自己紹介を是非是非〜♪」
アイリア「んー、じゃあ改めまして…。私はアイリア。桃源郷にある仙桃樹の精霊です。実は、まだ生まれてからは400年ちょいしか経ってないんだ〜」
ちなみに、私が苗の時からずーっと白澤様が育ててくれたんだよ♪と、とっても嬉しそうにアイリアは話している。
アイリア「あ、あとポケモンの草タイプの技が大得意です♪コンプしてます♪」
小雪「まさかの草タイプコンプリート!!(笑)」
すごいね!と驚く小雪に、そんなことないよー、とちょっぴり照れているアイリア。
そんな2人を見ていた白澤(海)がアイリアの事について、少しだけ特徴というか特性を教えてくれた。
白澤(海)「アイリアちゃんは太陽の光が大好きなんだ。というよりか…太陽の光は彼女の主食、ご飯でもあるんだよ」
小雪「太陽の光…ご飯…、ひょっとして光合成?」
アイリア「うん、そう。光合成。光合成とほどよい水分が私の一番のご飯。だから、食事は必要としないんだけど、白澤様に食事の楽しさを教えてもらってからは、色々と食べるようになったよ♪ちなみに、肥料アンプルも私の大事な栄養源なんだー♪すっごく大好き♪」
最近、鬼灯さんがスプレー式の肥料アンプルをくれたのー♪と笑うアイリアは、本当に幸せそうだ。
肥料アンプル・スプレー版の入手源は鬼灯(海)らしい(笑)
鬼灯(来)「ああ、そういうことですか。納得です」
小雪「鬼灯様?」
納得…?と小雪が首を傾げるのを見ながら、鬼灯(来)は簡単に説明をしてくれた。
鬼灯(来)「『仙桃樹の精霊』ということは、彼女の正体は植物。なので、光合成がご飯ですし、肥料アンプルも普通に摂取している…という事ですよ」
小雪「なるほど〜♪」
桃の精霊かぁ…すごいなぁ♪と感激している小雪に、もふもふ狼の小雪ちゃんの方がすごいよ〜♪とプチ女子会を始めてしまった。
そんな、アイリアと小雪が楽しそうに話しているのを見て、ティールも混ざりたいようで……2人の方を見て、謎に手を前に出したり引っ込めたりしている。
が……
ティール「………ぇ…ぁ…」
混ざりたいが、人見知りな性格が災いし、中々話しかけれない。
ティール「……あぅ……」
白澤(海)「?」
それを見た白澤(海)が、助け船を出してくれた。
白澤(海)「ティールも、もふもふしたいの?」
ティール「(こくこく)」
白澤(海)の問いかけに、ちょっぴりワクワクしたような表情で頷く。
白澤(海)「ん、そっか。小雪ちゃん」
小雪「?なんですか?お師…じゃない、白澤様」
どうやら、小雪は自分の世界の白澤は『お師匠様』、別の世界の白澤は『白澤様』と呼び分けるようにしたようだ。
白澤(海)「この子が、小雪ちゃんの尻尾をふかふかしたいみたいなんだ」
触らせてもらっても、いいかな?と、ちょっぴりワクワク顔のティールの頭を撫でながら問いかけた。
ーーー
" 触らせてもらっても、いいかな?"
ここだけ切り取ってしまうと白澤(海)の危ない発言に聞こえるが、この場合は違う。
あの人見知りのティールが、小雪に興味津々な証拠であった。
可愛い女の子が大好きな小雪が頷かないはずがない。
小雪「わあっ嬉しい!全然いいですよ〜!ティールちゃん、気付かなくてごめんね!はいどうぞ!」
小雪はニコッと笑みを浮かべた。
そしてもう一度くるっとティールに背中を向けて、自分の尻尾を見せる。
ティール「…!」
白澤(海)「大丈夫だよ、小雪ちゃんもいいって言ってくれたし。触らせてもらいなよ」
ティール「……(こくん)」
自分に向けられた、真っ白なもふもふ。
それでもティールは少し不安だったのか、白澤(海)を見上げた。
彼が目を細めて優しげな顔で頷いたのを確認してから、ティールは恐る恐る白のもふもふに手を伸ばす。
ティール「…わ…ふかふか… ♪」
小雪「本当!?ありがとう〜!手入れしておいてよかった〜」
ティール「…毛並み、綺麗です…♪」
ティールは優しい手付きで小雪の尻尾を触っていたが、かなり気に入ったらしく、その小さな体で小雪の尻尾をきゅっと抱きしめた。
ティール「…ふふ、もふもふ… ♪」
小雪「と、尊い……!!(耳も触っていいよ〜!)」
鬼灯(来)「小雪さん、心の声と建前が逆ですよ」
小雪「やべっ」
白澤(来)「あんなに顔がだらしない小雪ちゃん、初めて見た…」
小雪「貴方にだけは顔がだらしないとか言われたくないんですけど!?」
ティールの可愛らしい笑顔と行動に、思わず本音が出てしまった小雪。
ティールにもふもふされながら、小雪は白澤(来)に言い返している。
鬼灯の金棒で沈められた白澤がいつの間に復活したのか疑問だが、そこは神獣だからということにしておこう。
もふもふを堪能し、幸せそうな表情を浮かべているティール。
そんな彼女を見て、もっと何かしてあげたくなってしまうのは当然であろう。
小雪「ティールちゃん、ちょっと待ってね!」
ティール「え…?」
小雪「よいしょ、っと」
ボフンッ……
ティール「わっ……」
突然小雪の体を包み込んだ煙。
それはモクモクと広がり、あっという間に小雪の姿は見えなくなってしまった。
彼女の傍にいたティールも驚いたように一歩後ずさる。
そして、その煙が次第に晴れていくと……。
ティール「……あっ!」
アイリア「わあ、すごい!!」
そこにいたのは少女ではなく、真っ白な美しい毛並みの狼。
美しい青色の目が、この狼が小雪であることを示していた。
小雪「これで良し!さあどうぞ!」
狼姿のはずなのに、どうぞご自由に触ってくださいと言わんばかりの嬉しそうな表情なのが伝わってくる。
パタパタと大きな尻尾を振っており、青色の目は輝いていた。
狼というより、人懐っこい大型犬だ。
そんな彼女に初めに飛びついたのは、アイリアであった。
アイリア「凄い!もふもふ、可愛い〜!ティールちゃんもおいでよ!」
小雪の胴体に飛びつき、わしゃわしゃと撫で回すアイリア。
アイリアが顔を綻ばせながら手招きをすると、ティールも小さく頷いて小雪に近づく。
そしてティールは、きゅっと小雪のもふもふの首元に抱きついた。
ティール「もふもふっ…可愛い、狼さん…♪」
アイリア「ね、可愛いね!それに温かい!」
ふかふかの白い毛に顔を埋め、すりすりと頬を擦り付けるティール。
人見知りによる不安よりも、もふもふしたい欲が勝ってしまったようだ。
…勿論、狼姿だというのに小雪がデレデレの表情になっているのは筒抜けである。
そして、キャッキャッとはしゃぐ3人(正確には2人と1匹)を見ていた鬼灯(来)と白澤(来)はというと。
鬼灯(来)「……尊い!!(尊い!!)」
白澤(来)「心の声と建前逆!!…って言おうと思ったけどどっちも同じパターンかよ!!」
鬼灯(来)「あれを尊いと言わずして何と言うのです?」
白澤(来)「………尊い、だな」
鬼灯(来)「そうでしょう」
犬猿の仲である2人が、ここにきて意見が一致したのであった。
ーーー
小雪のもふもふに癒されるアイリアとティール。
先程からずっと黙ったままだった鬼灯(海)がそれを見て、ふ、と小さく笑みを浮かべる。
鬼灯(来)「?どうしました?鬼灯さん」
なんだか、嬉しそうな雰囲気の彼を見て、鬼灯(来)は、問いかける。
そのときに、別の世界線の自分の事をどう呼んだら言いか迷ったようだが、普通に名前で呼ぶことにしたらしい。
鬼灯(海)「ああ、いえ。あの子が…」
鬼灯(来)「ティールさんが?」
鬼灯(海)「他の方と接するのに怖がらずに嬉しそうにしているので、なんだか…嬉しいと同時に…少し寂しい気もしますね、と思いまして」
そう言いながら見つめる先には、嬉しそうに小雪にくっついているティール。
もふもふな小雪にぎゅぅっと抱きついて、本当に幸せそうな嬉しそうな表情だ。
白澤(海)「あの子、人と接するのをすごく怖がってるからね…」
白澤(来)「そ…うなんだ…。…あれ?でも、ティールちゃん。僕にすっごく懐いて、すぐにくっついてくれたよ?」
甘えてくっついてくれて可愛かったなぁ、と自然と顔がにやけている白澤(来)。
鬼灯(来)「それは彼女が、お前を自分のお兄さんである白澤さんと思ったからでしょう」
お前と違って、彼は本当に妹想いだと分かりますし。と鬼灯(来)にダメ出しされて「僕もあの子のお兄さんだもーん」と開き直っている白澤(来)だった。
鬼灯(海)「下心丸出しの兄とか、ふざけんな」
鬼灯(来)「激しく同感ですね。実のお兄さんいるんですから貴方の出番はないですよ、ザマァw」
白澤(来)「腹立つな!!ねぇ、酷くない、この言いぐさ!?」
ダブル鬼灯に言われ、白澤(海)に助けを求める白澤(来)。
白澤(海)「え?うーん、そうだねぇ…。あの子が君を怖がってないんだったら別にいいんだけど…。あの子が怖がってるのに、無理に『兄として』接しようとしたら……」
それ相応の覚悟をして貰うよ?とにこりと笑う白澤(海)。
表情は笑っているはずなのだが、目が笑っておらず…それが逆に怖い(笑)
そんな白澤(海)の意外な一面を見て固まっている白澤(来)をよそに、もふもふを堪能していた3人が自己紹介の続きをしようとしている。
小雪「アイリアちゃんの事は、分かった気がする♪今度は、ティールちゃんの事を教えて欲しいな♪」
ティール「え…っ、あ、…えと…」
狼姿のままで、尻尾をぱたぱたと振りながらティールに自己紹介を促す。
促されたティールはというと、まだ完全に小雪には慣れていないのか…言葉を詰まらせてしまった。
ど、どうしよう…どうやって言えばいいんだろう…と悩んでいるティールに次は鬼灯(海)が助け船を出した。
鬼灯(海)「ティールさん、大丈夫ですよ。ゆっくりでいいですから、ね?」
大丈夫、大丈夫。と頭を撫でてくれる鬼灯(海)にティールも緊張が解けてきたらしい。
少しずつではあるが、自己紹介をする。
ティール「あの、ティールです…。えっと…召喚、師です…」
小雪「召喚師?」
ティール「あ、はい…。あの…えっと…異界から色んな生き物や無機物を召喚して…、その…力を貸して貰って…色々と助けて貰ってます…です…」
鬼灯(来)「…?あの、召喚するのに生き物は、まあ分かります。ですが…無機物?無機物って、物ですよね。それに力を借りて…助けて貰う…?」
物に自我とか無さそうですが…どういう事です?と首をかしげる鬼灯(来)にティールはさらに詳しく説明をしてくれた。
ティール「えっと…『無』属性の召喚術がそもそも無機物召喚なので…えっと…色んな物を喚んで…る…です…」
言いながら、声がだんだん小さくなっている。
若干、怯えてしまったようだ。
小雪「鬼灯様、ティールちゃん怖がらせたらダメですよー」
鬼灯(来)「怖がらせてはないのですが……」
アイリア「でね、あのね、召喚師には『護衛獣』っていう、子がいるんだよ〜♪」
小雪「護衛獣?」
ティール「あ、はい。召喚師の側に居て守護をする存在、って言えば分かりやすい…でしょうか…」
白澤(来)「へぇ…使い魔みたいな感じ?」
ティール「うーん、使い魔っていうより…その…えっと…パートナーっていった方がいいかも、です」
鬼灯(来)「パートナー…なるほど…。私も過去に滝夜叉姫さんに喚ばれた事ありますが、パートナーとは程遠い感じでして…」
召喚1つとっても全然違うんですねぇ、と鬼灯(来)感心している。
鬼灯(海)「滝夜叉姫さんの時は、結構強引に喚ばれましたよね。
小雪「やっぱり、鬼灯さんも経験済みでしたか、滝夜叉姫さんの召喚(笑)」
鬼灯(海)「ええ。ですが、ティールさんの場合の召喚術は基本的に『喚ばれる側の了承』が必須条件で召喚可能になります。そのため、彼女の場合は、召喚師と護衛獣の関係は強固な『絶対的な信頼関係』で結ばれています」
早い話が、ティールが召喚術を唱えても喚ばれる側が拒否をすれば召喚されない、ということ。
強制召喚は否応なしに喚べるお手軽な召喚だが、彼女の場合は強制じゃない代わり、了承召喚。
互いの承認で喚ばれた召喚獣たちは、通常よりも遥かに強い子達が出てくるのだ。
ティール「それで、えっと…私たち召喚師は一人前の召喚師になる時に…その卒業試験で…『護衛獣召喚』が最終試験なんです」
小雪「試験とかあるんだね…!大変そう……」
合格したの?と問いかける小雪に、こくりと頷くティール。
彼女が頷いたのを見て、白澤(来)は気になったことを聞いてみることにしたらしい。
白澤(来)「え?じゃあティールちゃんは護衛獣いるんだよね?」
ティール「え…っ、あ、はい…居ます」
白澤(来)「えーっ、誰なの、そのティールちゃんの護衛獣ちゃん♪是非是非会いたいなぁ〜♪」
ティールちゃんの護衛獣ならすーーっごく可愛い子なんだろうなぁ♪とにやにやしている白澤(来)。
だが……
鬼灯(海)「私ですよ、彼女の護衛獣」
この一言で、見事に彼は固まったのだった(笑)
ーーー
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