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─── 名前はその後四日間、意識が戻らなかった。
精神的なものというだけで病名も無く、薬や治療法も無い。
ただ時間だけが過ぎていき、彼女の命の灯火が細くなっていく。
名前が倒れたその日、近藤と沖田は彼女の傍から離れなかった。
「目が覚めた時に誰もいなかったら寂しいだろうから」と言って、食事もせず眠りもしなかった。
しかしこのままでは二人の方が倒れてしまうと考えた土方は彼等の意向を汲み、必ず誰かが名前の傍に付くよう交代で看病する事を提案した。
昼も夜も必ず誰かが名前の傍につき、看病をしながら何度も声を掛ける。
しかし、瞼の裏に隠れてしまった焦茶色は姿を現さぬまま、時間だけが過ぎていった ──── 。
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