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沖田「この人たち、きっと本当の土方さんを知らないんだろうなぁ」
名前「ね!黙ってれば役者みたいに綺麗なのにさ、それが跡形もなく消えた顔で怒鳴り散らすなんて絶対誰も想像できないでしょ」
土方「ほう、そりゃ一体どんな顔だ?」
名前「あれだよ、般若みたいな……って、え?」
聞こえてきた第三の声に、名前と沖田は顔を見合わせる。
名前の背中には、冷や汗が伝っていた。
恐る恐る後ろを振り返る二人。
そこには ─── 。
土方「…何やってんだ?てめぇら…」
沖田「げ」
名前「ひいぃっ!!?」
例の如く、般若のような顔をした土方がいつの間にか立っていたのである。
名前「ひ、ひ、土方さん!?きょっ、今日は随分と早いんですねっ!!」
土方「ああ、今日は早く片付いてな。…で?お前らは何をやってんだ?」
沖田「掘り出し物を探してました」
名前「ちょっ、総ちゃん!?」
こんな状況でもヘラヘラと笑っている沖田を、名前はぎょっとして揺さぶった。
何を言ってるんだと言いたげだが、二人の手には恋文、そして文机の上には発句集が開いたまま置かれており、言い逃れのできる状況ではなかった。
沖田「逃げるよ名前」
名前「わっ!?」
土方「こら総司!!名前!!待ちやがれ!!」
沖田「嫌でーす!」
名前「あわわわわっ!!!」
沖田に手を引かれてその場から逃げ出す名前。
しかし、鬼の形相をした土方から逃げられるはずがなかった。
その後すぐに二人とも捕まってしまい、二人の頭には雷と鉄拳が落ちてきたのであった……。
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