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永倉「おーいお前ら!!飲んでっかー!?」
藤堂「なんだよ、全然飲んでねーじゃん!ほら、二人も飲めって!!今日くらいはパーッとさ!!」
突然、穏やかな空気をぶち壊すような賑やかな声が割り込んでくる。
名前と斎藤が振り返れば、見事なまでに酔いが回った藤堂と永倉がいつの間にかやって来ていた。
勿論手には、徳利と猪口を持って。
完全な絡み酒である。
藤堂「ほら、一君!名前も!!」
斎藤「…ああ、すまない。頂こう」
名前「あっ、ごめん。私お酒はちょっと ─── 」
永倉「んなつれねえ事言うなって!ほら、一杯くらいはいいじゃねえか!」
名前「えええっ!?いや、あの…私は ─── 」
素直に猪口を受け取って酒を飲み干す斎藤とは対照的に、首を横に振って酒を拒否する名前。
しかし永倉からズイッと猪口を無理やり押し付けられ、名前は珍しく困ったように眉を下げていた。
なかなか引いてくれぬ永倉に困っているようだ。
すると、突然名前の視界が黒で埋め尽くされる。
永倉と名前の間に、斎藤が割って入ってきたのである。
斎藤「新八。それは俺が貰おう」
名前「あっ…」
永倉「おっ、なんだよ斎藤、お前いける口か?いい飲みっぷりじゃねえか!」
藤堂「おー本当だ!一君もあっちで飲もうぜ!」
斎藤「…よかろう」
永倉「名前、お前も早く来いよ!総司がお前の料理取っておいてくれてるぞ」
名前「あっ、うん!今行くよ」
……もしや今のは、また彼に助けてもらったのだろうか。
まるで名前を庇うように割って入ってきた斎藤を思い出し、思わずニヤけそうになる名前。
永倉達に拉致されていく斎藤に、心の中でお礼を言う。
そして名前も皆の輪の中に加わり、沖田に頼んでおいた料理をあっという間に平らげて、年に一度の花見を満喫するのであった。
風光る、穏やかな春の日のことであった ────。
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