1
──── 翌日。
名前「わああっ……!!」
清々しい程の快晴が広がる中、名前達は料理を持って毎年花見を行っている場所へとやって来た。
そして目の前に広がった景色に、名前は感嘆の声をもらす。
風に吹かれてさわさわと桜の花たちが揺れて、はらりはらりと散っていく。
柔らかな薄紅色が空間を埋め尽くすその光景は、誰もが認める絶景だ。
目を輝かせる名前を見て、隣にいた沖田が小さく吹き出した。
沖田「名前ってば、毎年同じ反応してるよね」
名前「えー、だって綺麗じゃん!」
沖田「それはそうだけど。毎年毎年、初めて見た時みたいな新鮮な反応してるからさ」
他にも花見をやっている人達が何組かいて、その場は賑やかだ。
わいわいと皆で騒ぎながら桜の木の下へと行き、持ってきた料理や酒を広げる。
すると早速永倉と藤堂が酒壺の蓋を開け、ガバガバと水のように酒を飲み始めた。
原田もそんな二人に付き合い、楽しげに酒を飲んでいた。
恐らく明日は二日酔いに悩まされることだろう。
井上と近藤はいつも以上に笑顔で話しており、土方と山南もその横で酒を飲んでいる。
既に土方の顔は赤くなってきているが。
沖田は笑顔の近藤を見て顔を綻ばせながら、珍しくぱくぱくと料理を休まず口に運んでいた。
<< >>
目次