銀桜録 試衛館篇 | ナノ


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──── 突然試衛館にやって来た男、斎藤一。

偶然にも彼は二年前に町中で名前を助けた男であり、名前の初恋の相手となった男であった。

しかし、てっきり斎藤も食客となって試衛館で暮らすのだと思っていた名前だったが、どうやら彼は試衛館には通う形を取るらしい。
沖田と団子を食べた後に斎藤を探した名前だったが、いつの間にか彼は帰ってしまっていたのである。
それを知って、肩を落とした名前だったが……。

案外機会はすぐに訪れた。

それは、斎藤が初めてやって来た日の翌日のこと。
朝餉を食べ終えて道場の拭き掃除をしていると、斎藤がやって来たのである。


名前「あ!!斎藤さんっ!!」


皆がそれぞれで稽古をしている中、名前の声が道場に響き渡る。

やって来るなりいきなり大きな声で名前を呼ばれたせいか、斎藤は一瞬驚いたように固まった。
斎藤は戸惑ったような目を名前に向けるが……。


名前「おはようございます!ちょ、ちょっとだけ!ちょっと此方に来てください!すぐ終わるんで!!」

斎藤「……っ、!?」


パシッといきなり斎藤の手を掴む名前。
戸惑う斎藤だが、名前はお構い無しである。

訳も分からぬまま、斎藤はそのまま名前に連行されて行く。

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