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──── 名前の部屋に突撃して彼女を問い詰めた沖田は、団子を頬張りながら驚きの声をもらした。
沖田「へえ、あの時の羽織の人が斎藤君かぁ。凄い偶然じゃない」
最初は答えるのを渋っていた名前だが、あまりにも沖田がしつこいので観念して全てを話したのである。
名前は溜息を吐いて、沖田と同じように団子を一口頬張った。
沖田「そういえば、あの羽織って結局どうしたんだっけ」
名前「…ちゃんと仕舞ってあるよ」
そう言って名前は立ち上がると、箪笥を開けて中から例の羽織を取り出した。
それはきちんと畳まれており、ずっと仕舞われていたような跡は無い。
定期的に何度か取り出して、傷まないよう手入れをしていたようだ。
……手入れをするついでに斎藤への思いを馳せた事も何度かあったが、そのことは沖田には決して言うまいと誓った名前であった。
沖田「そうだったんだ。それなら丁度いいじゃない、返すついでに告白したら?」
名前「随分と簡単に言うね!?」
沖田「だって面白そうだし」
名前「面白がるな!」
沖田「ごめんってば。……あ、このお団子美味しい。何味?」
名前「黒豆きな粉。新作だって」
沖田「そうなんだ」
そこからは暫く、団子をもきゅもきゅと味わう音だけが響いていた。
名前「…話を戻すけど、そういうのはもっと仲良くなってからじゃないと!いきなり想いを告げても不審がられるだろうし、此処にも通い辛くなっちゃうかもしれないし」
沖田「ああ、結構色々考えてるんだ。ていうか、やっぱり告白はするんだね…」
名前「えっ、総ちゃんがそうしろって言ったんじゃない!」
沖田「言ったけど、助言しただけだよ。君、本当従順だよね」
名前「…そ、そこが取り柄だし!」
ぱくり、とまた沖田の口の中に団子が消えた。
名前もゴクリと団子を飲み込む。
名前「まずは羽織を返してあの時のお礼を言う!それで頑張って仲良くなって、いつか絶対告白するんだー!!」
団子の無くなった串を掲げ、名前は決意を新たにするのであった……。
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