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ごくりと唾を飲み下し、口を開いた僕の声はひどく掠れていた。
声が震えているのが自分でも分かる。
ドクドクと脈打つ心臓がうるさい。
それほどまでに、僕の胸は歓喜に打ち震えた。
けれど、双子の鈴のような声は返ってこない。
「怒っているのかい? 仕方なかったんだ、雪で家から出ることがままならなくて……」
言い訳をする僕に何を言うでもなく、双子はただこちらに瞳を向けるだけだ。
「何か言ってくれないか? 怒っているならそれでもいいんだ」
一歩、また一歩と近づくが、双子から返る言葉はない。
「今日は、いつもより上質の物を持ってきたんだ。きっとキミたちも喜んでくれるはずだ」
外套の中から取り出した硝子の瓶を振ってみせると、「それ」がぶつかりカシャリカシャリと音を立てた。
それでも双子は微動だにしない。
少しでもその白く細い指先を動かしてくれればそれだけで僕は安心するというのに、昨夜訪えなかった罰であるかのように。
ねぇ、ねぇ。
呼びかけても言葉は宙に浮くだけで。
次第に僕は苛立ちを隠せなくなった。
硝子の瓶を握る手に力がこもる。
「僕が嫌いになったのか……!?」
搾り出したその言葉にも、返ってくるのは沈黙だけだった。
カッと顔が熱くなるのを感じた。頭に血が昇る。
力強く、硝子の瓶を床へと叩きつけた。
ガシャンと硝子の割れる音。ジャリ、とそれが踏みしめられる音。
抜けてしまうのではないかというほどに、軋む床の音。
自身が立てているその音を、僕は遠い世界で聞いていた。
双子の――白いドレスの少女の細い温かみのない肩を揺さぶる。
なぜ、なぜ。
なおも宙に浮く僕の言葉。
揺する度に舞う金糸の髪、前後する頭。
何度揺さぶっただろう。それは、ぐらりと傾いで――落ちた。
ごとり。
それは、無機物の立てる音。
床に転がったそれは、少女の首。白磁の肌にまとわりつく金糸の髪。
指先が震えた。
何が起きたのか分からなかった。
そっと少女の顔をなぜる。ヒヤリと冷たい、それ。開かれたままの虹色の眼。
――違う。
違う、違う。
ここにいるのは少女ではなかった。
人ではなかった。
少女と同じ姿をした――人形だった。
違う。
振り返り、黒いドレスの少女の肩を掴む。
……違う。
そこにいたのは、やはり人形で。
白と黒。
オセロのコマのように、正反対の。
訳の分からぬ頭で、部屋中を見回した。
傾いたテーブルと、数脚の椅子。黴で変色したチェストボード。
倒れている白いドレスの人形と、座っている黒いドレスの人形。
傾いたテーブル、椅子が数脚、変色したチェストボード、白いドレス、黒いドレス。
テーブル、椅子、チェストボード、白い人形、黒い人形。
テーブ椅子チェスト人形、人形、人形、人形、人形――!!
――違う!そこにいたのは確かに人間で、少女で、僕の理想そのままの双子で。
こんなはずがない。こんなわけがない。