name change19
----日曜日
「ん…、」
名前は、ゆっくりとベッドから起き上がった
「(今日か…)」
名前と跡部は、やはり あの日から必要最低限の事以外は話していない
いつもなら、昼休みになれば迎えに来るのに、ここ何日かは来ていなかった(代わりに、岳人と忍足が来た)
そのあまりに、変な二人の関係に、跡部家の執事やメイドでさえも心配していた
コンコン
「失礼します。お嬢様。お食事の用意が出来ておりますよ」
名前が着替え終えると名前の専属メイド・杉山が入ってきた
「ん、」
「ご気分が優れないのですか?」
元気の無い返事に杉山が心配そうに聞いた
「ううん、大丈夫。」
「そうですか」
「……、杉山…」
「はい?」
「…、お兄ちゃんは?」
「先に召し上がって、コートへ行きましたよ」
「そっか……」
「大丈夫ですよ、お嬢様。きっとすぐに、景吾様と仲直りできますよ」
俯いた名前に向かって杉山は笑っていった
「うん、」
「そんな顔なさっては駄目ですよ。今日は、お出掛けになられるのでしょう?そんな顔されてたら楽しめませんよ」
「うん。」
名前は杉山にニコッと笑うと部屋を出ていった
「上手く笑えてませんよ。お嬢様」
杉山が悲しい顔で呟いた言葉は、空しくも部屋に響きわたった
心に開いた穴
(早く、元に戻って下さいね。景吾様、名前様)(いつまでも、悲しい顔をするお二人を見たくありません)
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