name change
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「名前さん、あの、その、よかったら妹のプレゼント選びに付き合ってくれませんか??」



「プレゼント?いいよ?」



「ほ、本当ですかっ!!じゃぁ、今週の日曜日、10時に駅前に来てください」


「うん、わかった」



校舎裏で繰り広げられているこの会話から全てがはじまった





パコーン



パコーン



氷帝学園テニス部では、今日も練習に励んでいる



「Aコート!もっと声だしてやれ!!」




「「はいっ!跡部部長」」



部長の跡部も周りの部員に指示を出している




「よしっ、それぞれ10分休憩だ」




「「「「「「はい」」」」」」」





「あ〜、疲れたC」




珍しく部活に出ていた慈郎がベンチに倒れ込んだ




「おいおい、寝んの早い奴やなぁ」



「でも、マジ疲れたよなぁ」



暑さと疲労で今にも倒れそうなR陣の元に名前がタオルとドリンクを持ってやってきた

「お疲れ様です!」



丁寧に一人ずつにタオルとドリンクを渡し終わった名前は、R陣に話しかけた



「あ、来週の日曜日って部活ありましたか?」




「ん?来週?」





「確か休みだったぜ」





「本当ですか!!?」




「お、おう。どうしたんだよ急に…」




何度も確認をとる名前を変に思った宍戸が聞いた





「えっと、日曜日に買い物に行くんです」




「一人でか?」






「違いますけど…」




「んじゃ、跡部と?」




「お兄ちゃんとじゃ無いです」




「じゃぁ、誰と行くんだよ」




「同じクラスの鈴木くんです」




「「「「お、男ーー!?」」」」



名前が男と出かけると知りR陣は大声を挙げた



その声を聞きつけ、跡部がやってきた
「おい、何の騒ぎだ?あーん」




「お兄ちゃん!」

「あ、跡部……」






跡部の登場に顔を引きつらせるR陣




「お兄ちゃん、来週の日曜日に買い物に行ってきてもいい?」


「あーん?買い物だと」



「うん!鈴木くんと一緒に」



「鈴、木?男か?」




「へ?あ、うん。そうだよ」




「……駄目だ」



「何で!?」




跡部は目を閉じてから名前に言った




「名前、電車にもバスにも乗ったことないお前が、一人で外歩けるのか?」



「……それは…」




名前は、跡部家の箱入り娘である。バスにも電車にも乗ったことが無いのは当たり前。もっとも、一人で町中を歩いた事がない(いつも誰かが一緒)


「大体、何で名前が、男と出かける必要がある?」



淡々と話す跡部と名前を黙って見ていたR陣が、口を開いた

「そうだぜ、名前!」


「行く必要ないC」




「どーゆー関係なんだよ」



「た、ただのクラスメートだよ」



R陣の質問に名前は言い返した


「お前は、ただのクラスメートと二人で出掛けるのかよ」


そんな名前に跡部は、冷たく言い返した



「だって、困ってたから……」


「つーかよぉ、何で名前を誘ったんだろぉな?」


「そんなの名前が可愛いからに決まってるC」



「下心見え見えやな」


「激ダサだな」



「最低ですね。」



岳人の言葉から、R陣が口々に話す



「そんなんじゃないですよ!ただ、話したことがあるだけだから…」



「でもなぁ…」


「あぁ」



納得しない顔の岳人たち



「本当に何にもないんだよ?だから、「もういい」」


名前が跡部に何かを言おうとしたが、跡部が遮った



「跡部…?」


「お兄、ちゃん?」



「勝手に行け」



「っ!!」



跡部は、名前に低く、冷たく言い放った。そんな跡部を見てR陣も驚きを隠せなかった


「休憩は終わりだっ!とっとと練習を再会しろ!!」


あの後、跡部が名前を見ることは無かった


波乱の予感
(何がいけなかったんだろう?)(こっち見てよ、お兄ちゃん…)





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