name change
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「財前くん…」


「財前…どういう意味や…?」


「言葉通りの意味っすわ」


「意味わからへん」


「ほな、これ聞いてもらえます?」


そう言って財前くんは制服から携帯を取り出した


『ザッ ザザー……それに、蔵みたいないい男手放すわけないやん?一緒におるだけで、浴びせられる女子たちの視線なんて優越感やし、イケメンテニス部とも仲良うなれたし!!本当に、蔵はいい道具やねん。ザザザうわぁー性格悪っ!!ザー』


財前くんの携帯から、あたしが聞いた会話が流れてきた


「これ聞いても、名前先輩の事責められますか?」


「…嘘やろ」


「嘘やないっすよ。現実逃避もええ加減にして欲しいっすわ」


「蔵、」


あたしが小さく蔵の名前を呼ぶと蔵はぴくりと反応して弱々しい呟いた


「堪忍な、名前……」


「ううん、」


「ちょっとりんと話してくるわ」


そう言い残して蔵はあたし達の前を後にした。静まっていた廊下がざわめきを取り戻した頃にあたしは財前くんの名前を呼ぶ


「財前くん」


「なんすか?」


「ありがとう」


「別に」




「でも、いつの間に録音したの?あの時どこに居たの?」


「近くの木の下で寝てたんすわ。まぁ、名前先輩たちの位置からは見えない場所っすけど」


「そうだったんだ。本当にありがとう」


「……いーえ」





ありがとうを込めて






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