白黒シグナル | ナノ


昨日に引き続き、会長が生徒会室に現れた。
昨日の紅茶ぶっかけに対する苦情なのだろうか。
また殴られそうになったら、今日こそ殴られる、絶対に。
なぜなら昨日助けてくれた美琴が、吹奏楽部のミーティングで生徒会室にいないから。
絶体絶命のピンチ。
どうする、私!?
脳内でけたたましく鳴り響くサイレンに私の体は全くといっていいほど反応しない。
ただ会長の顔を見つめている(睨んでいるともいう)と、会長が私を見下しながら口を開いた。

「お前をテニス部のマネージャーにする」
「はい?
何勝手に決めてるんですか、意味がわかりません」
「美姫がお前をマネージャーにしてほしいと言ったからだ
それ以外の何でもない」
「拒否します」

即答すれば、会長が不愉快そうに顔を歪めた。
正直、顔を歪めたいのはこっちの方である。
勝手にマネージャーにされて、はいそうですか、なんて納得出来るか。
できた方がおかしいだろう。
それに私は、生徒会の仕事もある。
一人の女にデレデレして、テニスをしていないテニス部に、割く時間なんてあるもんか。
まあ、それはレギュラーだけなんだけど。

「大体、生徒会の仕事を押し付けておいて、いいご身分ですね」
「アーン?
お前が勝手にやっただけだろ」
「…(死ね)」

まじイラつく、コイツホントに生徒会長だったの?
信じられない。
私の感覚が正しいのか正しくないのか分からないけど、私はもうこの人に関わりたくない。
なんて自分勝手で、傲慢で、間抜けなんだろう。
ファンの女の子や、生徒、先生、平部員にまで見放されたのになぜそれに気付かない?

「お前、怖いのか?」

…何が怖いって?
会長の言葉に私の眉が寄る。
会長はそれに構わず続けた。

「美姫に仕事の出来で負けるのが怖いんだろ」
「んなわけあるか
よし、そこまで言うならマネージャーやりましょう
でも、条件が三つ」
「それぐらい、許してやるよ」

会長が鼻で笑う。
あーあ、私を怒らせたこと、忘れてるんだ。
仕方ないな、私はテニス部なんてどうでもいいし、綺麗にあの女をぶっ潰しちゃおう。

先に喧嘩を売ったのは、会長とテニス部の人ですもんね?
容赦しませんから、覚悟していて下さい。