未来日記 | ナノ


目を覚ましたとき、私は兄さんとよくわからない場所にいた。
さっき兄さんが何かしら言っていたから、多分その関係なのだろう。
確か、第三十八因果律大聖堂だったとおもう。
もちろん、実体でではない。
兄さん曰く、サバイバルゲームの説明を受けるんだそうだ。
別になんとなくルールは分かるし、いらないのだけれど。
そんな風に思っていたら、隣の兄さんが私の考えが読めていたのか、変身後の妙な話し方で言う。

「瑠斗ダケ説明ヲウケナイノハ、平等ナゲームノ進行ニ関ワル。少シ我慢スルンダ」
「兄さんがそう言うなら…」

そう言えば、兄さん――平坂黄泉は小さく笑みを漏らした。
かくいう私は灰色っぽい髪をいじりながら、1stが姿を現すのを待った。
私の名前は、平坂瑠斗。
13人目の、日記所有者。
なぜ私が日記所有者に選ばれたのかはわからない。
でも、私が選ばれたのにはなにかしら理由があるのだろう。
もしくは、過去の出来事に対してのお詫び、なのだろうか。
そんな風に考えている間に、1stが姿を現した。
シルエットからして、中学生といったところだろうか。
他の所有者を見ても、色々シルエットが変わっている。
年齢、性別、背丈も様々。
この人達は…?

「では……全員が揃ったところで、早速この『サバイバルゲーム』について説明をしよう」

時空王デウス・エクス・マキナの話をまとめると、私達の手にある手に携帯やボイスレコーダー、そして携帯音楽プレイヤーは、未来日記というらしい。
未来日記はは九十日先まで未来が知れるのだという。
そして私達は神の座をかけて、殺しあいをしなければならない。
他の所有者に殺されることが確定した場合は、DEAD ENDが表示され、それはどうしても回避することはできないらしい。
1stは回避したらしいが。
サバイバルゲームで生き残れるのは、ただ一人。
ということは、兄さんとも…?

「私、降りる」
「なぜだ?神になりたくないのか?」
「なりたくない。私、今、幸せ」
「13th、考えてみるのじゃ。神になれば、お前の好きなものとずっといれるのじゃぞ?」
「…ずっと、」
「それでも降りるのか?」

その言葉に、私は首を横にふっていた。
神になれば、兄さんと一緒にいれる。
兄さんと、ずっと一緒に…。

「ソウナルト当面ノ障害ハ――」
「当然、1stだな」
「お前が最初の標的だ」
「奇跡を勝ち取るタフさはちょーっち厄介だぜ」
「1st、殺す、私、神、なる」

私を含めた所有者全員が、1stを標的とみなす。
DEAD ENDを覆すなんて、厄介にも程がある。
だから1stをまず消してやろうと思ったのだ。
私の日記の前では、彼の日記なんて脅威ではない。

さあ、私達の幸せを壊す所有者達を潰しにかかろう、兄さん。


神の座殺しあい