未来日記 | ナノ



みねねが走って向かったのは、二年生の教室がある階。
まさか、1stは二年生の生徒…?
それなら私が気付いていてもおかしくないし、逆に私が気付かれていてもおかしくはない。
なのに双方とも気付かなかったのだから、奇跡と言えるだろう。
もっとも、私が他人と関わらないからというのが一番大きいような気がするが。
なんて考えていたら、みねねがある教室の前で止まった。
瑠斗はそこで待ってな、と言い残して教室の中へ入っていく。
どうやらみねねは、遠回しに生徒が1stだということを確認していくようだ。
一体誰が1stなのだろうと考えていると、教室の中から机が立てたとおぼしきガタガタという音と、弱々しいというか、怯えきったような声が聞こえた。
中を覗き込んでみれば、一人の少年が床にへたりこんでみねねを見上げているではないか。
まさかあれが1st?
3rdを殺ったのだから、勇ましいのだと思っていたけど、弱っちいじゃないか。
拍子抜けというか、なんというか。
呆気にとられていると、私の横を誰かが走り抜けた。

「ユッキーっ!」
「みねね!」

反応が遅れて出遅れたが、みねねは無傷だったようで、窓枠に飛び乗っていた。
体操服姿の少女を押し退け、みねねに駆け寄るとみねねは私の頭をくしゃりと撫でてから、妖艶な笑みを漏らす。

「フラグは立った。お前の死は三時間後よ。…私は九番目の所有者、雨流みねね。それから……」
「十三番目、所有者、平坂瑠斗」

私が言い終わるや否や、みねねは下へ飛び降りた。
みねねが窓のしたから移動したのを確認して、私も窓から飛び降りる。
これぐらいの高さなら、怪我なんかするはずない。
みねねの横に並ぶと、みねねはやっぱり私の頭を撫でて笑う。

「瑠斗、これから楽しいパーティーが始まる、協力頼むよ」
「私、1st、殺す、みねね、協力する」
「よし、いい子だ。こっちに来な」

みねねが走っていく方に、私も走っていく。
だけど私達に勝算がないことを、私の日記が告げようとはその時は知らなかった。


盲目的に勝ち誇り