甘ったるくて胸焼けしそう  


ちょっと俺の話を聞いてくれ。
最近、ストーカー被害で悩んでるんだけど、なんかいい解決方法知らね?

「なんじゃ、苗字のことか。あれはストーカーじゃないぜよ、ブンちゃん」
「ブンちゃん言うな。あれがストーカーじゃねえなら、何がストーカーなのか五字以内で説明しろ!」
「キチガイ。五字以内じゃろ?」
「あれも相当なキチガイだろぃ…」
「お呼びかな、私の未来のスイートスイートお婿さん丸井くん!」
「誰がお前の婿だ! それからスイートって言ったなら全部英語で言えよ!」

仁王の後ろから、にょきっつー効果音がお似合いな動作で出てきたのが、俺の悩みの種である苗字名前。
正真正銘のストーカーで、変態。
顔は悪くねえのに、なんか中身が残念なタイプ。
どう残念なのかと説明すると長くなる。
俺の数メートル後ろを常について回り、更衣を覗き写真をとるのは当たり前、トイレの窓に張り付いて俺を見てたり、使用済みタオルを奪ってすーはーすーはー匂い嗅いでたり、部活中はカメラ構えて俺を見てるし。
とりあえず、こいつが変態じゃなく、ストーカーじゃなかったら、なんだって言うんだよぃ。
今だってそうだ、俺の尻に手を伸ばして…は?尻?

「だーっ! お前は何しようとしてんだ!」
「ナニだなんて大胆な…」
「ちげえよ! 俺の尻に手ぇ伸ばして何をしでかすつもりだったんだよぃ!」
「いやぁ、今日もいいお尻だな、と思ってさー」
「苗字、お前いい加減にしろよ!?」
「えへー、ごめんねー!」

コイツ、全く反省してねえ…。
流石の俺もキレるぞ、マジで。
怒りでわなわなと震える俺をよそに、仁王が苗字に話しかける。

「そういやお前さん、ブンちゃんに何か用があるんじゃなかったんか?」
「そうだ、忘れてたよ! 仁王くんナイスー」
「それほどでもないぜよ」
「苗字、おかしなことじゃないだろうな…?」
「おかしなことなんかじゃないし! こ、これ受け取りなさいよ! べ、別に丸井くんのために作ったんじゃないんだからね! 食べなかったら、ゆ、許さないんだからね!」
「ちょ、待てよ苗字!」

俺に何か押し付けて、そのまま走り去った苗字に俺の制止なんか聞こえるはずもなく、残ったのは俺と仁王、それから苗字が押し付けた何かだけ。
その何かを見てみると、少し形はいびつなものの、美味しそうに焼き上がっているカップケーキ4つだった。
予想外のものにポカンとする俺に、仁王が茶化すように笑う。

「調理実習じゃよ、これ。うまそうに焼けとるな、苗字は将来いい嫁になりそうじゃな」
「調理実習? 聞いてねえよ、そんなこと!」
「大方、ブンちゃんをビックリさせたかったんじゃろ。勘違いしとるじゃろうから言っとくぜよ。さっきのツンデレは演技じゃないぜよ」
「はぁ? 素だって言うのか?」
「そうじゃ。苗字も女子じゃからな」

いや、そら分かるけどよ、いつものあの行動に恥じらわねえのに、なんでカップケーキ渡すのにあんなに恥じらうんだよ。
意味が分からねえ…。
とりあえず、貰ったもんは食うのがポリシーだ。
苗字から貰ったカップケーキを仁王から死守しつつも頬張った。

カップケーキロマネスク



(うわっ、あめえ…、うまいけど)
(……苗字、結構可愛いじゃんか)

−−−
遅くなってすいません!!
ちゃんとリクエスト通りになってますか…?
変態ヒロイン、ということで、管理人なりに頑張ってみました。
何かリクエストと違うところがあれば、遠慮なく申してください!
返品と持ち帰りはひなたさまのみ可です。

リクエストありがとうございました!!





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