花言葉 | ナノ
漣さんは俺の前で少し戸惑うように頬を赤く染めている。
ふるふると震えるまつげが愛らしい。
何を言おうとしているのかは分からないけど必死なのは伝わってくる。
時折口を開いて言葉を必死に紡ぎだそうとしてるのは分かるけど、また閉ざされる。
それが何度か繰り返されて、やっと漣さんの口から言葉が発しられた。
「あの、鳳くん、えっとね、一緒に帰っちゃ、ダメ、かな…?
えっとね、あの、その、嫌だったら構わないから…」
そう言い終えて俯く漣さん。
ギュッと手を組んで俺の返答を待つ彼女に俺は笑って返答する。
「部活が終わるまで待っててくれるなら一緒に帰ろう
俺が教室まで迎えにいくから」
「本当に…?」
「うん、本当」
俺が頷けば嬉しそうにはにかむ漣さん。
うすピンクの頬はまるでシクラメンの花のよう。
もう少し寒くなったらシクラメンが出回るだろうから、鉢植えをプレゼントしよう。
大切に育ててくれるといいな。
少し先の未来を想像して俺の頬が少し緩んだ。
漣さんは優しくはにかんだまま。
俺は彼女の頭を撫でてこう言った。
「部活いってくるね」
「うん、頑張ってね…!」
手を振って微笑む漣さんに手を振り返してから俺はテニスコートに向かった。
確か教室からはテニスコートが見えたはず。
だから漣さんにかっこいいとこ見せないと。
そう思いながら俺は部活に励むんだ。
内気彼女のお誘い
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シクラメン/内気・はにかみ