五万打 | ナノ



最近、蔵ノ介がよそよそしい気がしてならん。
付き合い始めた当初もどこか距離をおいとって、淡白な感じやった。
告白したんも私、メールを始めるんも私。
何もかもが私からしか始まらん。
ホンマは、付き合う気がなかったんかもしれへん。
一緒に帰るんも、手を繋ぐんも、キスもあらへん。
こんなん付き合っとる、なんて言えへんやないか。
多分私は告白を断るための口実でしかないんやろう。
手近な女の子が私やっただけの話で、別に私が特別やとか、そういうわけやなかったんや。
それやのに、一人で舞い上がって、一人ではしゃいでホンマ、

「馬鹿みたい」

この一言しか出えへん。
一方的な好き、やったから蔵ノ介やって淡白なんや、きっと。
もう、自分が馬鹿みたいで笑えてくるし、泣けてくるしで、自分の感情ですらようわからんくなる。
もう帰ってしまおう、と鞄を持ち上げた時、ガラリと教室の戸が開いた。
そっちに顔を向けると、少し息を切らした蔵ノ介がおった。
今更、私に何のようなんやろう。
それが伝わったんか、蔵ノ介が口を開いた。

「スマン、不安にさせて
ちょっと引いたら、今まで以上に俺を求めてくれるんとちゃうかって思うて、千鶴から距離おいとったんや」
「…馬鹿、蔵ノ介の大馬鹿」
「スマンて、まさか計画とは逆になるなんて思うてなかったんや」
「計画なんてせんでも私は蔵ノ介が好きや
それじゃ、不満か?」

私の言葉に首を横にふる蔵ノ介。
なんや、すれ違いしとっただけやんか。
おかしゅうなって小さく笑うたら、蔵ノ介が恥ずかしげに右手を出してきた。
それをとりながら、私はまた笑うた。


そこにあるのは多分、


(不器用な双方の不安)


−−−
朧月ちゃん、遅くなってごめんね!
言い訳させてくれ、白石で切甘ってどうしたらありがちなパターンにならずにすむか悩んでたんだ←
結果、こんな文章になっちゃったぜバーン←

朧月ちゃんのみ持ち帰り可能!
リクエストありがとうございました!

※朧月ちゃんと管理人、リアルに友達です