オタク連載 | ナノ


忍足のウィンクを記憶の底に葬って私は足早に教室を出ようとしていた。
いや、だってこれ以上いたら変な要求されそうだし…。
うん、正しい推測だと思う。
スクールバッグを掴んで足早に教室を出ようとする私の手を掴んで忍足はニヤリと笑みを浮かべながら言った。

「どこいくつもりや、神田さん」
「ドコッテイエイガイナイジャナイデスカ」
「何でそんなに片言なん
まあええわ、明日発表やねんから練習した方がええわな?」
「ソウデスネ」
「やから、神田さんの家にお邪魔して練習させてもろうたらアカン?」
「ナンテコッタ!」

口から思わずそう出てしまったのは仕方がない事ではなかろうか。
いきなりの家に来ていいか宣言はないと思うよ。
今が放課後で誰もいなかったから良かったものの、昼休みとかだったら私ファンクラブの子達に殺される。
死亡フラグが回避できないぐらいたちまくるだろうね。
…私、絶体絶命!
ひとまず手を振り払ってため息をついて忍足に問う。

「あのさ、部活は大丈夫なの?
テニス部練習あるでしょ」
「心配いらへんで、今日はオフやし」
「サヨウデスカ!」

なんてこった、パンナコッタ。
なんで今日に限って部活がオフなんだろう。
私の部活もなぜかオフが重なってるし。
もう辛い、これ家で練習フラグを回避できないじゃないの。
もう、泣いていいかな私…。
出来ることなら回避したかったけどこれは無理みたいだし、渋っていても仕方がないので半分自棄でいいよ、と言葉を発した。
とたんハイテンションになる忍足。
……こうなることが分かってたからなおさら嫌だったの!

嫌なのはお分かりですよね