櫛(沖斎)
ザーザー…
ほんっと、梅雨ってジメジメしてるし、嫌んなっちゃうよね。
せっかくの非番の日なのに、近所の子に遊んでもらうこともできず、僕は縁側でぼんやりしていた。
「総司。」
愛しい人の声が聞こえて、僕の心は一気に晴れやかになる。
「一君!!巡察お疲れさま!!」
僕はとっておきの笑顔を向けながら、巡察で疲れたであろう彼に労いの言葉をかけた。
「ん、ただいま。」
一君はそう言うと、僕の隣に腰をおろした。
「総司。後ろから見ていて気づいたのだが…」
ん?なんだろう?
僕は一君を見つめ返した。
たったそれだけなのに、一君は顔を赤らめて少し目線をずらす。
…かわいすぎるよ、一君。
「あの…髪が跳ねているのだ…」
「え?」
あー、梅雨はこれだから。
髪が跳ねやすいんだよね…
でも、一君はそんな小さなことも見ていてくれるんだなぁ。
僕が彼の指摘に幸せを感じていると、一君は懐から櫛を取り出した。
「う、後ろを向いてくれぬか。髪をといて…やる」
少し照れ気味に彼が提案してくれた。
…本当に可愛いんだから。
「本当?お願い。」
僕が素直に後ろを向くと、彼はたどたどしく、髪をといてくれた。
それがなんだかくすぐったくて、でも大切にされてる気がして、すごく幸せだった。
髪をひとしきりといてくれた後、一君は僕の髪を撫でながら、満足そうに言った。
「総司の髪は柔らかいな。この時季は大変だろうが…その…また跳ねていたら俺がといてやるから…」
…この子は僕をどこまで幸せにしてくれたら気がすむんだろう。
僕は振り返って一君をギュッと抱きしめた。
「ありがとう、一君。」
こんな幸せがあるなら、梅雨も悪くはないかもね。
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うはー(笑)
甘々にしてみたつもりですが、いかがでしたでしょうか?(>_<)
総司は愛されているし、一君を愛してる!!
と嬉しいなぁ(笑)
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