気遣い(原沖)
「…くっしゅん…っ!!」
「ん?どうした、総司?風邪か?」
今日は休日。
休日は恋人の家に来ることが習慣となっている沖田は、今日も原田の家を訪れていた。
「うーん…まだ熱とかはないと思うんだけど…」
「最近いきなり寒くなったからな。体に負担がかかったんだろうな」
今日はもう大人しくしとけ、と沖田の頭を優しく撫でる。
「…でも、折角左之さんと一緒に居れるのに…」
まるで猫のように気持ちよさそうに目を細めながら沖田は口を開く。
その様子を見た原田はくすりと笑う。
「お前が体調崩して学校に行けなくなる方が寂しくなるだろうよ。毎日会えなくなるんだぜ?」
そう言われると何も言えないのか、沖田は口を尖らせる。
いい子だ、と大人しくなった恋人の額に口付け、原田はソファから立ち上がる。
そしてキッチンに向かっていった。
「…左之さん?」
いきなり立ち上がった恋人の名をか細い声で呼ぶ。
そんな愛しい者の声を聞けば放っておけるはずもなく、キッチンから顔を覗かせる原田。
「ちょっと待ってろ…あ、あったあった。総司、お前生姜は大丈夫か?」
「え?大丈夫だけど…」
「よし!!じゃぁ待ってろな」
そう言って再びキッチンへと向かった。
***
「お待たせ」
そう言って沖田の目の前にコトンとマグカップを置く。
マグカップからは温かそうに湯気が立っている。
「これ…」
「しょうが湯…だったか?風邪に効くんだとよ」
原田は沖田へと柔らかな視線を向ける。
「お前、意外に風邪引きやすいだろ?だから、ちょっとでもなんか出来ねえかと思ってな」
一応調べてみたんだ、と自分の頭を軽く掻いた。
「左之さん…ありがとう…ございます…っ//」
お礼を言うとさらに嬉しそうに目を細める。
その様子を見た沖田も目を細め、マグカップへと手を伸ばした。
口を付けると、温かく、優しい甘さが広がっていく。
「…甘くって、おいしいです」
「そ…っか//いや、お前は甘い方が好きだからな。ちっとばかし蜂蜜を多めに入れてみたんだが…気に入ったんならよかった」
「左之さん…」
沖田は手元のマグカップを机に置いた。
「左之さん…ありがとう!!//」
「っと!!//」
沖田は原田に抱き着いた。
原田はそれを受け止め、二人はソファに倒れこむ。
「総司…」
「…んっ」
そしてそのまま口付けを交わす。
「…っ左之さん!!風邪、うつっちゃいますよ…!!//」
沖田は顔を赤らめ、原田の身体を軽く押す。
そんな沖田の小さな抵抗は何の意味もなく、原田はさらに沖田を強く抱きしめた。
「お前の風邪だったら、大歓迎だよ」
「…もう//…知りませんよ…?」
二人は再び口付けを交わす。
甘く、温かい口付けを…
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