初夏(沖斎)“過去拍手文”
最近は梅雨も明け、暑い日が続いている。
よほどがない限り体調をくずさぬ俺が堪えているのだ。
幼いころから体調を崩しやすかった総司はさらにしんどいに違いない。
現に昨日も昼休みには水分しかとっておらず、食事らしい食事はなにも口にしていなかったはずだ。
あんなでは、さらに体に負担がかかってしまうだろう。
昔から総司は自分の体に無頓着な所がある。
医者からもらった薬は飲まない
熱が出ていても気づかない
だから余計に心配なのだ。
(どうしたものか…)
今日は日曜日。
学校も休みのため、時間は十分にある。
ゼリーなどだったら、総司も口にできるのではないか…?
そう思った俺は、家にあった料理本を開く。
菓子などの作り方の項目に、ゼリーの作り方も載っていた。
(これなら、総司も食べやすいだろう。)
そう思った俺は材料のメモを取り、炎天下の街へと繰り出した。
*******
最近はほんと暑くてやんなっちゃうよねー。
今日は日曜日だけど、何もする気が起きなくて、僕は部屋のベットに寝転がる。
一君、今頃何やってるのかなぁ。
生真面目な君のことだから、今頃机にでも向かってるのかな?
休みの日でも考えるのは君のことばかり。
そういえば、一君、まだあの暑っ苦しいブレザーを着ていたっけ。
学校既定の衣替えは確かあと一週間先。
でもみんなそんなの気にせずにカッターシャツになっていく中、君は風紀委員だから規定は守るとかって、まだ律儀にブレザーで登校している。
大丈夫だー、なんて言ってたけど、この日差しの中あんなの着てたら倒れちゃうよ…。
その時、僕はなんとなく付けっぱなしにしていたテレビのあるコマーシャルに気付く。
“服にシュッとスプレーするだけ!!スッキリ爽快!!サラリーマンの皆さん!!一緒にこの夏を乗り越えよう!!”
あ、これいいかもしれない。
一君はサラリーマンじゃないけど、これならあと一週間はあのブレザーを着てても少しはマシなはずだ。
一君、僕のことばっかり心配してくれるけど、自分のことはいっつも後回しなんだから…
思い立ったら即行動!!
僕はベッドから飛び起きると、お日様がさんさんと射す外へ出て行った。
*****
次の日…
「総司。」
「あ!一君!!」
「「渡したいものがあるんだ。」」
二人して声をそろえた、初夏の朝だった。
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