ニコラス・フラメル

廊下を歩いていると、両手に分厚い本の山を抱えたハリーとエンカウントした。今は珍しく一人な様で、周りにロンとハーマイオニーの姿はない。



『やぁハリー。難しそうな本を抱えて、何か調べもの?』

「う、うん。まあね」

『勉強熱心だねぇ〜感心感心』



足を止めたハリーに対してそう労うと、少し緊張した面持ちで苦笑された。何やら隠し事をしている匂いがプンプンするぜ!



「(明らかに動揺しているな)」

『(しかも、あんまり追求されたくないっぽいしね)』



ヴォルにそう返すと、追求しないのか?と訊かれたので、今回はやめといてあげるよ。と答えておいた。三人だけの秘密の調べものって感じだろうし、私が邪魔しちゃ悪いからね。大体見当はついてるし。



『調べもの頑張ってね〜』

「あ……っ、ま、待って!リク!」

『?』



深く追求されると困りそうな顔をしていたから、テキトーにスルーしてあげようかと思ったんだけど…。何故かハリーから呼び止められたので、此方も足を止める。

ハリーは暫し考える素振りを見せた後、彼は意を決して私に尋ねてきた。



「ねぇリク。リクは…ニコラス・フラメルって人を知ってる?」



期待が込められた、真っ直ぐな緑色の瞳に、私の姿が映る。

一年生のこの時期にハリー達がする調べものと言えば……まぁ、ソレだよねやっぱり。かなり古くて分厚いし、中身も絶対に難しいよねっていうような本を何冊も抱えているとなれば、最早ソレしかない。

ニコラス・フラメル。著名な錬金術師で、賢者の石の創造に成功した唯一の者として知られる魔法使い。アルバス・ダンブルドアの友人で、賢者の石の共同研究を行った人物、だ。

さてさて。せっかく質問して貰った所を悪いけど……まぁ、私もアッサリ答えを教えちゃまずいよね〜流石に。

という訳で、間髪入れずに少し惚ける事にしました。この間約1秒!



『?その人、最近流行ってるの?この間はハグリッドがその人の名前を出して愚痴を零してたけど…』

「!その時、ハグリッドは何て言ってたの!?」

『えーっと……絶対に内緒だっちゅーのに、ハリー達にはニコラス・フラメルの事を聞かれるし…困った奴等だ。変な所で父親に似ちょる…俺をおちょくるのがウメェときたもんだ……とか何とか』

「え…ハグリッドって、昔僕の父さんにおちょくられてたの?」

『まぁ、初代悪戯仕掛人達だからねぇ。無断で危険な森に忍び込んだり畑を荒らされたり出し抜かれたりとかはしょっちゅうだったとか』

「…リクって、僕より僕の父さんの事に詳しくない?」

『いや、話の流れ的にも基本的にハグリッドの受け売りだからね?』



しゅんと微妙に落ち込むハリー。なんかゴメンよ。取り敢えず、話の軌道修正をしますかね。



『ハグリッドの証言から察するに、ニコラス・フラメルって人と、ダンブルドア校長先生が関係してるって事なら。ダンブルドア校長先生の知人・友人の線で探してみるのも有りじゃないかな?』

「あ…!」



その手があったか、という反応。目から鱗って感じか。っていうか、ハーマイオニー辺りがその方向から既に調べ進めてそうな気もするけどね。

ダンブルドアの功績とか、ダンブルドア偉人伝とか、著作本系は色々あった筈だ。本命は彼が携わった何かしらの共同研究に関する書籍、または監修書籍辺りだろう。運が良ければ、錬金術関連の本にたどり着けるかもね。もっとも、校長も顔が広いから此方のルートから探すにしても、かなりの時間と地道な苦労を要するだろうけど。否、むしろこっちの方が非効率的か?でも、小説では結局カードのヒントを得るまで答えにたどり着けなかったみたいだし、違う方向から調べてみるのも有りなんじゃ……嗚呼もう何かコッチまで面倒臭くなってきた!

もしもググれたら、密林とかでマニアックな書籍がヒットしそうだよね。なんて至極どうでもいい余談はさて置き。あとは…一応、こっちのヒントも出しといてあげようか。軽〜くフラグを匂わす程度に。



『っていうか、フラメルって人…なんか何処かで聞き覚えのあるんだよね』

「あ、リクもそう思う?」

『うーん。なんか、すごくしょうもない所で最近も読んだ気がする…。思い出せないけど』



ぶっちゃけ、カエルチョコレートのオマケカードな訳だが。オマケカードの紹介文にフラメル氏をわざわざ入れるとか、地味に手の込んだ遊びをするよね。流石、狸ジジイが手掛ける英雄育成プログラムだよ全く。

 

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -