Few years ago
話をしよう。あれは、今から一万年と二千年前から愛してる話だったか……いや、八千年過ぎた頃からもっと恋しくなってきたんだったか。兎に角神は言っていた。此処で死ぬ運命ではないと。的な何処かで聞いた事がある様な内容のゲーム(マグル製品)を暇潰しでクリアした、今からおよそ三年位前。
『よし!遊びに行ってみるか』
「(何処へだ?)」
『ホグワーツに』
ドヤ顔で決めてきた当時の身体年齢8才のリクに、ヴォルが久しぶりに表情を引き吊らせた。ここ最近はなまじ大人しかった分、余計にだろう。
「(お前は何をまた突拍子の無い事を…)」
『だって、今急に無性に異様にセブに会いたくなったんだもんっ!』
ちなみに姿眩ましと姿現しは共にマスター済みだ。この世界に転生した私もあと数年したらホグワーツに入学出来るのだが、私の場合二歳の頃から既に魔法の勉強を始めていた為、今は7年間で会得する魔法やら知識はある程度マスターしている(ただし、苦手な分野は除く)。そして、基礎を修得した私は現在、次の段階……難易度の高い魔法を極めたり、オリジナルの魔法を研究する段階に進んでいたりする。闇の魔術関連のみだがな!将来は某闇の帝王まっしぐら!なる気ないけど。
ホグワーツで姿現しが出来るのは校長と屋敷僕妖精……後者は魔法の系列が異なるにしても、そうじゃない校長が出来るんだから私にだって出来る筈さ!
「(一体何処からそんな自信が来るのか甚だ疑問だが……)」
『人生何事も挑戦する事が大切だと思うんだよ、ヴォル君』
という事で、考えつく限りのあらゆる魔法や手段を試しに試しまくってみた。ら…
『…やべぇ、何かマジで成功しちゃったみたいだよ!?』
「(マジかよ…)」
なんと、ホグワーツへの姿現しを本当に成功させてしまったのです。あの闇の帝王までマジとか呟いてしまう程の衝撃だった。
何かかつての画面越しに見覚えのある廊下でホグワーツっぽいなぁ〜って思ったら、此処がまさか本物のホグワーツの廊下だとは。ホグワーツOBのヴォルも此処はホグワーツだって言うんだから、間違いないだろう。
イーノックの様に、軽装備で挑んでまた駄目だったよ、な展開にはならなかった様子。ヴォルの話も聞かなかったのにね!
『(今更ながら、コレってセブや校長に見付かるとヤバくない?)』
「(ならばサッサと戻れば良いだろう)」
『(で、でもせっかく来れたのにセブの顔も見ずに帰るのは勿体無い気が…)』
先程迄とは打って変わり、人気のない廊下の隅で身を縮こまらせながら、リクはオドオドと辺りを見回していたそんな折り。ぽんぽん、と背後から肩を叩かれてリクは思わず飛び上がった。勢いよく後ろへ振り返ると、同じ顔が2つあった。ギャー!?見つかった――!!?
「やぁ、小さなお嬢さん。立ち入り禁止の廊下で探検かい?」
『ぅえ!?あ、の…えと…』
「ひょっとして、君も僕らと同じ一年生?私服みたいだけど、君の寮は?」
『あ…ぅ……』
「いやいや、いくら何でも一年生にしてはこのレディは小さ過ぎるだろう」
「やはりそう思うかい相棒よ」
「「従って、君は一体何者なのかな?」」
『ううぅ……』
ヤバい、これは面倒な人達に見つかったかもしれない。赤毛の双子でしかも立ち入り禁止の廊下にいるなんて、私の知る限りのハリポタ知識で思い付く人物達は彼等しかいない。ジェームズやシリウスに継ぐ子世代の悪戯仕掛人、ウィーズリー家の双子こと、フレッドとジョージだ!
しかもまだ幼いときた!!彼等の口振りから察するに、どうやらまだ一年生らしいが……この様子だと、現在既に悪戯仕掛人をやってる様子。
「ああ、ひょっとして恐がらせてしまったかな?」
「ごめんよ小さなお嬢さん。僕らは別に怒ってる訳じゃないんだ」
『へ…?』
何て弁解するか迷っていたら、双子からそんな言葉が返ってきた。まぁ、こんな小さな子ども相手に、しかも彼等の性格上怒るとも思ってなかったが……どうやら私が無言で戸惑っていた為、怒られて泣きそうになっていると解釈されたらしい。不思議な顔をして首を傾げると、双子は今度は優し気に笑って言った。
「僕らは君に敬意を表しているんだよ」
「この難攻不落の城、ホグワーツへの小さな侵入者たる君にね」
侵入者って……校長に会いに来た客人、とかいう線は疑わないのか。それとも本当に私が侵入者だってバレてるのだろうか。まぁどちらにしろ、この双子にとってこの場にいる部外者な私は興味を引く対象である事には変わりない様だ。
「僕はフレッド。此方はジョージ。見ての通り、僕らは双子だよ」
「それでは、お嬢さんのお名前をおうかがいしても?」
『私はリク。ファミリーネームは秘密です』
「ファミリーネームを名乗らないって事は、大きな秘密が隠されているのかな?」
『まぁね。でも、アルバスじゃない事は確かだよ』
ニヤリと笑みを浮かべると双子は互いに顔を見合わせた後に思わず吹き出していた。こんな冗談を言ったら小生意気なガキだと思われるかなーと思ったら、そうでもなく、何やら彼等のツボにはまったらしい。
そんな彼等は私が未来の後輩だと知るや否や、得意気に校内を案内してくれた。危なかったね君達……実は肩を叩かれた瞬間、振り向き様に危うくアバダっちゃう所だったんだよ。
「あれ?フレッド、ジョージ、その子は?」
「僕らと同じ一年生のリクさ。僕らの呪いに引っ掛かったせいで、背が縮んじゃってね」
「でも暫くしたら戻る筈だから問題ないさ」
「それはまた飛んだ災難だったな……」
双子と共にホグワーツの中を案内されている途中、通りすがりのリー・ジョーダンから同情された。
ちなみに現在、私は私服を隠す為にフレッドからローブを借りていたりする。やはりサイズがダボダボだったが、今は双子から受けた呪いで身体が縮んでいるせいだという上手い理由があり、逆に疑われなかったという。流石悪戯仕掛人、悪知恵が回るね。
「おやおやおや?そこいくちびちゃん達は一年生の子達かなぁ〜?」
「「『!!』」」
リーとも別れて再び校内散策をしていた三人だったが、突然間延びした嫌らしい…というかムカつく声で呼び止められて振り返ると、そこには身体が透けた中年のオッサンがいた。しかも、此方を見てニヤニヤと笑っていやがる。
「しまった」
「まさかこのタイミングでピーブスに見付かるとは…!」
「ここは立ち入り禁止の棟なのに〜♪いーけないんだーいけないんだー♪フィールチーにー言っちゃーお〜♪」
そう。このタイミングで何が不味いって、今現在私達がいる場所が普段立ち入り禁止の場所だからだ。流石未来の悪戯仕掛人だよね。案内してくれる場所って言うのが、立ち入り禁止のエリア巡りなのだから。
そんな最中に今回ピーブスに見付かったのだ。最悪以外の何物でもない。
此れには流石の双子も顔色を青ざめさせていた。確かにフィルチに見付かるのも不味いが、私は諸事情により他の先生方に見付かっても色々と不味い立場にあってもっと不味い。
「さぁて、今から大声を出してフィルチを呼んでやるぞぉ〜!」
「ま、待ってくれピーブ…!」
『ごめん、ちょっと借りるね』
「!?リク!!?」
ジョージから杖を借りて、ピーブスと対峙する。すると、今にも大声を出そうとしていたピーブスの感心が私に移った。
「何だぁ?ちびっこ。まだ一年生のお前に何か魔法が使えるのかよ!」
『勿論!という事で、私が貴方に勝ったら、此処は見逃してくれる?』
「ほぉお〜?ちびっこ一年生の癖に、大した自信じゃないか……良いぜぇ。だが、このピーブス様に勝てたらな」
下手な脅しだと思ったのか、はたまたどんな悪あがきを見せるのか興味を持ったのか。相変わらずニヤニヤと嫌味な笑みを浮かべているピーブスに対して、リクもまたニヤリと悪どく笑い、一切の容赦なくその杖を振るった。
『抱腹絶倒、腹筋クルーシオ!!』
この後、立ち入り禁止の棟では暫くの間ピーブスの笑い声がずっと響いていたとか。
勿論、ピーブスが笑い転げている内に三人で逃走させて頂きましたよ。ただ、ピーブスがあまりにも笑い転げ続けていた為、下手したら笑い死ぬんじゃないだろうかとリクは一瞬心配になったが、既に死んでいる事を思い出し、なら大丈夫かと考え直した。
大丈夫。今のは禁じられた呪文じゃないから。ただの禁じられた呪文の改悪版だから。リクタスセンプラ(笑い続けよ)より腹筋への負担が深刻なだけだし、30分位したら呪いが切れるように手加減もしといたから。ていうか霊体にも魔法が効いてビックリだよ。
「すごいよリク!君はもう魔法が使えるのかい?」
『エヘヘ、よく分かんないけど楽しいね♪』
無事にピーブスから逃げ切れた所で、適当にブンブンと杖を振り回しながらリクは無邪気に笑う。…と、
「決めた。君は今日から僕ら、悪戯仕掛人のリトル・マスターだ!」
『リトル・マスター?』
「ああ。このホグワーツへの侵入を成功させ、更にあの悪名高きピーブスをも退けた君だ。我等、悪戯仕掛人のマスターとお呼びするに相応しい」
ジョージの杖を借りてノリノリで撃退というか凝らしめてやった所、何故か双子から崇拝された。て言うか、悪戯仕掛人って既に結成されてたのかよ!!
こうして、私ことリク・スネイプとウィーズリー家の双子は仲良くなったのであった。
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双子ってハリー達より何歳上なんだっけ?と思ったけど覚えてないしまぁいっか☆とスルーしたらこうなった←
確かハリー達が一年生の時に双子が三年生だったような気が……
ていうか、コレは過去編に置いた方が良かったのでは?←