聖獣の森(5/12)

ちょっとだけ魔物を弱らせる予定が、一発で半数程片付けてしまった。やはり中級譜術にしたのが不味かったかな……と、内心反省。



「サクってスゲーな!さっきといい今のといい、魔物を一瞬で倒しちまうなんて!!」

『いや、ルークの方がスゴいよ。あれだけの数に対して怯まずに戦ってたじゃん』

「ま、まあな…」



逆に褒め返したら、満更でもない様子でヘヘッとルークは得意気に笑った。どうやらルークは褒められて伸びるタイプらしい。

というより、自身の事を周囲に認めて欲しいのかもしれないけど。



『この先さっきみたいな場合は、私も一緒に戦おうか?』

「サク様、それはいけません!危険です!!」

「別に良いじゃねーか?本人が良いっつってんだし」

「ルーク!」



私の提案に、ティアが慌てて待ったを掛ける。守るべき対象の私が率先して戦闘に参加されては、神託の盾兵であるティアも困るらしい。

が、その辺の事情に疎いルークは、何故ティアが止めるのか理解していない。それ故の軽率な発言に対して、ティアがルークを睨む。



「何でだよ。サクって見掛けによらず強ぇーじゃん」

「サク様は導師なのよ!危険な目に合わせる訳には…」

『待って待って!喧嘩はしないで!』



納得がいかないルークと、怒るティアという二人をサクは慌てて止めた。夫婦喧嘩は犬も食わないとはいえ、此処はやはり止める巾だろう。



『……分かった。じゃあ、こうします。戦闘中は私もイオンと一緒に安全な場所に下がる。けど、そこからなら譜術を使って二人の後方支援に回っても良いでしょ?』



先程やったのと同じで、何ら変わらなかったりする。が、それなら…とティアとルークの両者が納得してくれたので良しとしよう。

この後も、度々魔物との戦闘を交えたりしながら、イオン様御一行は森の小道を進んで行き……結構森の奥迄入った所で、淡いピンク色の体毛を持ったチーグル族が現れた。



「みゅ、みゅうみゅうみゅ!」

「ん?あれがチーグルか?」

「まだ子供みたいですね」

「(可愛い…)」

『(そんなティアも可愛い…)』



ルークが訊くとイオンが頷いた。一方でチーグルの可愛らしい姿に魅了された様子のティアがフラフラ近づくと、チーグルは一目散に逃げてしまった。ティアの背中が残念そうだ。

まぁ、相手は野生の魔物だから仕方がない。しかし、チーグルを見掛けたという事は、この辺りにチーグル族の巣があると見て間違いないだろう。

少し探索してみましょう、というイオンの言葉により、付近を探索する事になった。



- 99 -
*前 | | 次#

(5/12)

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -