ソファーに腰掛けてぼんやりテレビを眺めていたけれどそろそろ洗濯しないと、と立ち上がる。
洗濯機がある脱衣所へ向かおうとしたら「おーい」とやる気のない声が聞こえた。
和室を覗いてみると声の主はコタツで突っ伏しながらチョイチョイ手招きしている。


「……お爺さん、いちご牛乳ならさっき飲んだでしょう?」
「違ェよ!! 人をボケ老人扱いするんじゃありません!」


ダラダラしていた割には勢い良く起き上がった彼は再び私に手招きをする。

近付くとギュッと手を握られた。
「ん」と反対の手でコタツ布団を捲って目線を下に落とす。


「…え?」
「来いよ」
「は!? やだ昼間から何!? 咥えないですよ!?」
「ちっげェェェよ!! ちょっとなまえちゃんやめてくんない!? 女の子がそういうこと言うのやめてくんない!!?」


ぐっと手を引かれて逞しい胸に抱き留められる。


「重いんだろ、今月」
「えっ」
「顔見りゃァ分かる。あったかくして休んでな」


後は俺に任せろ、と自分が着ていた半纏を私の肩に掛けて彼は和室を出て行った。