02
「どぉ、弥月ちゃん。」
『佐助!』
関ヶ原からすでに2週間が経過した。
まだ、完全に落ち着いたというわけではないが前に比べれば怪我人も大分少なくなっていた。
それは良かったことなんだけれど、不安なのは怪我が治ってそれから内乱が起きること・・・
いまだ、三成さんは立ち直れて無いから・・・
私は残った医務班のみんなと一緒に新しい薬を作っている最中だ。
勿論、この世界で造れるものといったら少なくて・・・
それに、この時代には清潔な場所だって多くは無い。
・・で・・・
『信玄公の具合はどんな?』
「驚くほどぴんぴんしているって
さっすが弥月ちゃんの薬って感じ!」
『そう、それはよかった。』
「そういう石田の旦那は?」
佐助が私のところに来るようになったのは信玄公の病のことだ。
私が出来ることは少なかったけれど、気は病からというように明るくしてもらった。
でも、今一番問題なのは三成さん。
どんな薬も、声も、今のあの人には届かない・・・
『・・・もうちょっと・・・なんだけどなぁ・・・っ』
私は、この時代で医療技術の向上をして、少しでもこの先や病で苦しむ人を少なくしたかった
それが、私の願い。
失いたくないから
三成さんは、この国を統べる義務がある。
それが、勝ったものの運命。
「弥月ちゃん・・・弥月ちゃんまで迷子になっちゃだめだよ?」
『ん?』
「弥月ちゃんは無知な子猫のままでいいんだから
魍魎なんかになっちゃだめだ・・・」
まだ、完全にではないが戦が少なくなってきているからか、佐助の表情はちょっとずつ普通に戻ってきた
今だって、ちょっと不安そうな顔で私を見ているから。
『大丈夫。私は狂えない・・・彼を支えないといけないから』
執筆日 20130411
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