彼の名は「伊達政宗」
私は「伊達政宗」の成り代わり。
一度は捨てたその地位を再び手にした私と、愛も知らず孤独に生きた彼。
なんて、どんな運命の巡りあわせだろうか、っていうか、こんなの会っちゃいけないと思うが・・。
「政宗様!!刀をしまいなさい!」
「Ah?小十郎は俺にたてつくって言うのか?」
「そうではありません! あれほどこの世で人に刀を向けてはならないといったでしょう!」
・・・っと・・この政宗はどうやら物覚えが悪いって言うか・・・わがままなようで。
横に居る猿飛でさえ苦笑いをしている。
っていか、確かに私も猿飛に刀は向けたし・・・今は預かってもらっているが・・・
目の前の政宗が向けているのは小刀。
おそらく戦でつかっている刀・・・景秀は小十郎が預かっているんだろう。
『私が・・・二人?』
だが、こう平然としてるのもあれだし、未だ刀を向けられているわけだけで・・・
っていうか、この数週間で私の勘も鈍ったな。
急所である首スレスレに来るまで気がつかないとは・・・
『へん、よ・・
母上が・・・母上は・・この世に私を送ってまで・・・小次郎の敵を取りたいと言うの?』
私が不必要だから、そっくりな間者まで用意して殺そうというの・・ 小十郎・・
だから、あえて、そう言って。
おびえてる風に見せれば、政宗はクッと眉間に皺を寄せた。
おなじ境遇だと、おもったのだろうか。
それとも、私をこの世界に居る自分だと思って哀れんでいるのか、同情するか。
以下せん、小次郎と母上の名を出したのは本当に申し訳ないと思うけれど、
「っ政宗様・・・っ」
それに反応したのは、私が名を呼んだ小十郎で。
まぁ、この姿は何度もこいつに見せているからな・・私は小十郎の前でしか泣けない。
「とにかく、二人とも落ち着いてよ!
第一に人の家で刀出さないでよね!!」
まぁ、ようするにだ、とりあえず女々しい女の振りでもしてみるか。
小さい頃は良くやってたし
執筆日 20100811