当たり前だ
『(こんな姫らしい格好、成実の前じゃあれから一回もしたこと無いからな)』
小十郎にも内緒にしてこの格好をしているからな。いやはや、たまには良いものだ。元々、私は女なのだから。
しかも、せっかく輝宗様が着物をくれたのだ。一回も着ないのは悪いし、西海の鬼ももう見合いっつーか似たもの同士みたいな感じだし。
『西海の、いるか?』
「伊達か? こんな時間にどうした?」
『今日は月が綺麗だからな、 どうだ、一緒に酒でも』
「あ、あぁ」
呼べば返される言葉は機械のようだった。小さく笑いながらソッと障子をあげれば、私の姿を映した西海が固まっている。
また、それに笑った。まぁ、月明かりしかねぇ部屋にいて、で、西海の髪は銀色。月明かりに反射して綺麗だ。
「お、おま・・・」
『どうだ、似合うだろ?』
「いや、なんつーか・・・お前、もったいねぇ・・・」
『Ah?』
なんて考えながら普通に部屋に入る。
そうすれば視線をずらした西海に苦笑いだもしかしたらあれだな、女慣れしてねぇのか。
スッといつもとは裏腹に綺麗な作法で西海のそばに座る。
「・・・んで、わざわざ戦に出るんだよ・・・」
『いや、言われる意味がわかんねぇ』
「っわざわざやんなくても良いことやってんだぞ、お前は」
『あぁ、そういうことか。そんなの、簡単だろ?』
そうすれば、そういわれた。
まぁ、仕方ねぇことなのかもしれない。
元、姫若子。
戦が嫌いで、大人しかった。だからまぁ、そういわれていたのだろうが・・・
『俺・・・いや、私はな小さい頃に右目を失った。まぁ、お前は左目に眼帯してるっつーことはなんか訳があんだろうと思うけどよ。今まで、大好きだった愛していた両親から見放された。その時に、決めたんだ。いつか、こんな家出て行ってやろうって』
「・・・」
『でな、出て行ったんだよ。脱走した。酷い、雨の日だった。』
すべて私が決めたことだ。
だから・・・
『その日にな、女の私は死んだんだよ。その時、気がついた。奥州は絶対に、日ノ本一・・・平和な国にしようって』
それからお互いの国について話していた。
見合いっつーよりも同盟国的な感じの話。まぁ、いい話し。
で、お互いに国の自慢をしていた、やっぱり四国は海だからか魚がうまいとか。
いいよな、魚。私は好きだ。
*-*Side Mototika*-*
月明かりが照らす
「日ノ本一・・・平和な国か・・・」
そんな中、あの女・・・伊達政宗が言った言葉が耳に残る。日ノ本の中で最も平和な国にしたいのだと……俺に言ってみせた
今まであった中じゃあ一番俺好みの女だ。媚びてこねぇ、まっすぐな目をした俺と同じ片目の女、何よりも、俺と同じ民を大事にしてる。
そいつが理想だ
ただ まだ嫁に行くには早い。あんなに強い目をしてるんだ、
あいつならほんとにこの国を……日ノ本一 平和な国できるかもしれねえ
「面白そうだ」
あの女なら、きっとやっちまう
俺に見せたあの風景を日ノ本全てに広げるだろう。まぁ楽しみなことだ。
「酒がうまいぜ」
徳利に入った酒を飲んで月見ができるほど、ここは平和だ、先まで俺に酌をしていたあいつは家臣に引きずられてどっかいっちまったが、その家臣は正しいと思うぜ。
俺も男だからな
あいつは男として育てられたからか女としての自覚が少し足りねえ気がする。
そりゃ心配になるよなあ。
まあ、四国と奥州、遠いが、こりゃあ手を組んどいて損はねえ…
「鬼と竜の同盟とあっちゃ……毛利もうかつに手は出せねえだろ…」
あんまり戦えなくなるのはつまらないが平和ほどいいもんはねえしな
「毛利よぅ…」
お前は今何をしてんだ?
俺とを同じで各地の武将と手を結んでるのか……いや、あいつに限ってそれはない…徳利にくちづける。
本当いい酒もってる、土産にくれっつたらくれんだろうか?とりあえず明日なったら、四国に戻んなくっちゃな。いつまでも城を開けてる訳にはいかねえ。野郎共もさみしがりがるだろうしな
そう考えつつ徳利の酒を飲みほした
執筆日 20130529