カチャリ…



さびれた音が冷たい牢の中に響いた。

びくりっと肩を揺らして振り返るのは、かつては竜と呼ばれた女


かつては蒼の戦装束を着ていたその女は、今は対なる赤き衣に身を染めて

裸足の足には巻かれた布とにじむ赤。


両の手にはそれぞれ鉄の輪がはめられ、それは壁につながれていた




「遅くなって申し訳ありませぬ、政宗殿。」




少々時間がかかりまして、と




牢のカギは開けっ放しのまま、彼もまた緋色の衣をまとい、竜の前にするりと目線を合わせるように座る。

ふいっとその視線からのばれるように視線を外せば、クツクツと笑い、自由の利かないその竜の体を抱き寄せた




「あぁ、某の政宗殿…もう誰にも渡しませぬ…」




そして、まるでなつかない猫をめでるように頭をなで、首元に口を寄せた。




『っゆき、むら』



力なく、拒否をする、
男の肩を押す竜、



ガリッ




けれど、首筋に建てられる虎の牙
痛みに表情をゆがめ、小さく呻きを上げたが意味はなく、



「蒼に染まるなぞ・・・ 許しませぬ
 政宗殿…貴殿には赤が一番似合いまする」

『っやめ…』

「あぁ、あぁ、某の政宗殿…」



首筋から流れる赤が着物にしみていく。
あぁ、だが、もうすべてが遅いのだと…




『(どこで、間違ったんだろうな…)』




俺が雪にあったこと?

それとも・・・・











*-*歪み*-*


彼女は知らない。

己が堕ちていたその短い期間に…





各地で何が起こっていようなんて…






竜は、知らなかった




*-*----*-*-


遅くなりましてすいません!
全武将とまでいかずほぼ幸村のみでしたがお気に目していただければ幸いです
フリリクありがとうございました!


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