『はは、くすぐったいよ疾風』



私が落ちてきた場所へと疾風を走らせ、地に裸足で降り立てばぐりぐりと顔を方に押し付けてくる疾風。

あぁ、やっぱこいつも主が恋しいとかそこらへんかよ、
嫌なわけじゃないからいいけど。



『なぁ、疾風…私は死ぬのかな…』



ぎゅぅっと抱きしめるように腕を回せば温かい。
私は、冷たかったのだろうか…



『っ死にたくないよ…っ』

「死なせは致しませぬ、」

『っ!!』



思わずこぼれた本音。
一回死んだんだ、なのに生き返ってそして、今度は毒で死ぬとか…右目だってあんなに苦しかったのに…


それが今になって、こわい、だなんて…
なのに、いきなり後ろから声をかけられてはっとして振り返れば優しい目をした小十郎がいて…

思わず目をそらした




「いいですか、政宗様
 おそらくこの世界は貴女様の生きた世界とは別の世界なのでしょう。

 ならば、貴女様の世界には貴女様のこれからの世界があります。」

『小十郎…』

「こちらの貴女様は亡くなってしまわれましたが、…貴女様は生きています。」



けれど、そういわれてやっと小十郎を見ることをできた、
隣までたち、そして私の頭を軽くなでる。



「こうして、貴女様の隣に立つことはもうできませぬが…
 俺は貴女様の右目として生きることができ誇り高かった、忘れないでください、

 生きることは、あきらめないと」



そっと瞼に重なるように覆われた手。
ずるりと意識が闇に沈んでいく、

この世界に来た時のように…



『こ、じゅ…』

「大丈夫、貴女は貴女の世界で生きてください。」



















「っ梵!!」



ゆるりと目を見開けば、見慣れた場所だった。
そして、見慣れた従兄弟の…いや、見慣れない泣き顔があって…



「こ、小十郎さん!綱元さん!!!」



そしてバタバタと障子を壊す勢いで開きそして駆け出して行った。
あぁ帰ってきたんだと…


ゆっくりと体を起こせば少し体は痛んだが




「っ政宗様!!」

「殿!」



成実がでていってすぐに私の知る小十郎と綱が駆けこんできた。
私の姿を見ればホッとしたように表情を崩してどしゃりと座り込んだ。

おいおい…



「っお目覚めになられて、本当によかったっ…」

『なんだ、そんなに寝てたのか?』

「っ笑い事じゃないよ! もう、目が覚めないかもしれないって…っ軍医の人が…っ」




あぁ、でも、あっちの小十郎が言った通りだったな。




私には私の生きる道がある




『OK、なら今はゆっくりやすむとするぜ、』

「そうしてください、殿。」

『仕事はちゃんとやるけどな。』

「こういうときばかりは取り上げますよ。」



あぁ、でも…

やっぱり、生きることは楽しいって


執筆日 20130912




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