初めてアドリビトムの外で生活をし始めたけどここは住みやすい。
星晶もとられすぎていないし、まだ何も起きていない。ただ私が遠目に見つけた黒には、ひどく驚いた。
『(ユーリ…)』
首から下がるのは「私」の生きた証。初めての誓い。二度と叶うことはないものだ。
遡れば 既に一週間前。この場所に来た最初の日。
道具屋の店主にきいた宿はすぐ見つかった。ギルドも比較的有名で見つけやすいといえば見つけやすかったのだ。「ギルド・凛々の明星」駆け出しながらも、闘技場での実力があったりこのお世話になっている下町出身の騎士との連携でどんどん悪政を暴いている…ということだ。その言葉に可能性を感じるのはしかたない。ある種の必然を手招いているようなものだった。
紫色の羽織の男の隣で小さな少年に悪戯っ子のようにちょっかいをかける彼を見つけてしまったのは…少し焦ったけれど彼から見れば 私は一般人。剣を持っていなければ、の話。
けれど、傭兵なら剣を持っていたところで違和感はないはずだ。とりあえず宿に入ってしまおうと、彼らの前を通り過ぎた。
自然に、通っていったはずだ。視界にもいれていない。はずだった。
だから手がつかまれたのは予想外。
正直振り払えばよかったことなのに、振り返ってしまったのが運のつき。私の手を掴んでいたのは少し身長の高い、黒。間違いなく、彼。
夜に色を殺してしまう宝石に近い色の瞳を見開き「お前…」と小さくつぶやいた。音にはなってなかったかもしれない。でも近距離で それを私が見逃すわけがない。何故こんなにも残酷なのか。
『離してくれませんか、おにーさん。』
ただその出会いに従う気はさらさらないのだ。私の言葉を聞いた彼は少し瞳を揺らした。
それを見て黙っていないのが周りで、「青年がナンパした!!」と騒ぎ始め、一方ギルドの中から出てきたクリティア族の女性は含み笑いをしている。先ほどまでユーリにちょっかいをかけられていた少年は状況が飲み込めていないようだ。
『私に何か?』
「……いや 知り合いに似てたもんで、わりぃな」
『いいえ、世界には3人も似たような人間がいるっていうから仕方ないわ』
少しだけ 嫌味っぽく言ってやる。そうすれば 彼も苦笑いした。
『…ここであったのも何かの縁ね、はじめまして シルヴィアといいます』
でも自分の名を名乗った
そうすれば やっぱり彼は目を見開いたけれど、数秒の間…それから彼は「ユーリだ。アンタはどうしてここに?」私にといかけた。
正直あなたに用はなかったのだけれど、引き止めたから止まっただけ
『私そこの宿に泊まろうと思ったの、そしたらあなたが止めたのよ』
「そりゃ悪かったな、……ところであんた出身は?」
そしたら 思ってもみないことを聞かれた。彼はこんなに疑い深かっただろうか。それともこの世界独特なのか。
『出身は、ヘーゼル村よ』
だから私は精一杯の嘘をつく。君にとってはすぐにバレてしまう嘘を、
それでもいいと思ってしまう私は、きっと弱虫なのだけれど、
Re20210121
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