アンジュからシルヴィアへしばらくは休養だという通達がされた。
もちろん抗議はしたが、残念ながらミラとシンクを筆頭にシルヴィアがやるような任務を回収されてしまえばなにも言えない。
しまいのはカノンノと共に医務室にいなさいと言われたがそこまで具合がわるいわけじゃないとイオンと共に家事やらなにやらをしているのは解せないが今はやれることをやれればと思う。
「風がきもちいいですね」
『そうだね。』
ぱんっと勢いよくシーツを降って洗濯竿にかける。飛ばされないように止めてシワにならないように広げた。
船に戻ってきてからはシャツワンピースに紺色のセーターと赤いリボンというはたから見たら完全に非戦闘員である。
「シルヴィアさん、お手伝いありがとうございます。」
『ううん、大丈夫。体動かしてないとむしろ気が滅入っちゃって』
そんな彼女のもとに新たに洗濯かごを持ってきたクレアがいった。笑顔のまま返してそれを受けとってイオンが空っぽになったかごを受け渡す。
「お料理も洗濯物もやっていただいて、本当に何て言っていいのやら」
『こんなことしかできないし、今の私にできることだったら何でもいってね。』
「はい!本当に助かります!それに、ヘーゼル村のみんなのことも…」
きっと彼女からすればこれが一番言いたかったことかもしれない。きれいなシアン色の瞳がシルヴィアを写してまた笑う。
『じゃあ、今度クレアが作ったピーチパイ食べさせてよ』
「え?私が作った、ですか?」
『うん!私昔から甘いもの大好きなの。』
昔から、とはどこからをカウントするのか。
それでも、いままでクレアのピーチパイを食べたことはない。だから気になっていたというのは本当で、クレアも「はい!ぜひ召し上がってください」と微笑んだ。
「俺、ずっとシルヴィアと一緒に任務に出てみたかったんだ!」
そんな静寂を打ち破ったのは小さな英雄だった。目をキラキラさせたまま彼女の手をとって走り出し、半ば勢いで参加することになった任務に、頭がいたくなる。
暗い坑道とは裏腹に気持ちを高鳴らせる彼は一回目のヴェロトローパ出現のための実験で誤って呼び出してしまったカイルという少年であった。
未来の別の世界から呼び出された、スタンとルーティの子供であり、英雄である二人に憧れを抱いてる少年である。
「だ、大丈夫かな」
『怒られるのは目に見えてるね。』
から笑いしか出てこない。
そのシルヴィアの様子に引きずってきたジュードも苦笑いを浮かべるしかなかった。
ヴェラトローパから持ち出したニアタの欠片からジュディスが読み取った星晶に変わる「舐めると塩辛い空色の石」「羽があって飛び回る実」「全身から汗を流すパン」の三つの素材。
そのうちのひとつがブラウニー坑道の下層部にある『塩結晶』で、採取するだけなら問題はない。けれど、この任務はもっと危ないものなのだ。
勢い余って双剣士のまま来てしまったから回復はジュードとしいなだよりだ。
「俺の戦い、たくさん見ててね!で、なにか改善できるとことかあったら教えてほしい!」
剣を抜いたまま、カイルがいう。
つまりは半分剣術指導もということか、まぁ、こういうときでないとくめないと思ったのかもしれないが、時間さえあれば全然見るのにと思ってしまったのはもともとの性格から。
「悪いねぇ、シルヴィア、ジュード、止められなくて」
『私は平気。むしろジュード無理矢理つれてきちゃって申し訳ない』
「僕は平気だよ。シルヴィアも心配だったし」
しいなからかけられる言葉に笑って見せる。むしろジュードを引っ張って来てしまったからそこは申し訳ないなとおもう。さすがにイオンにこの任務は難しすぎる。
190217
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