--どうして?
それはエステルの大きな疑問だった。
ユーリがつれて帰ってきたのは銀色と、彼女の仲間だという4人。
平然と入団試験を済ませてそして自分達の部屋の隣の大部屋を使い始めたのをみて、ユーリと彼女が廊下ですれ違う姿をみるようになってしまった。
その姿をみたとき、本当に心が痛かった。
私の方が、ユーリと長い間一緒にいるのに。と。
『もしよければどうぞ、王族の皆さんの口にはあわないかもしれませんが。』
ことりと置かれたのは綺麗な形のアップルパイ。
焼きたてのそれに「それ、俺らももらっていいか」といったのはユーリだった。にこりと藁てt『たくさんあるからどうぞ』とシルヴィアは笑う。
「! とてもおいしいですわ!」
『そういってもらえてよかったです。もしよければフルーツティーもどうぞ』
「いいかおりだ、君には料理の才もあるんだね」
『シルヴィアと呼んでください、両方とも私のすんでいた里でとれたものでつくってみました。』
にこりと、シルヴィアが告げて、それから三人の前に座った。
ウッドロウ、ナタリア、エステルと三人をしっかりみてからひとつ息をはく。
『あなた方の申し出、とても嬉しいです。ですが、貴方たちにはもっと手をさしのべなければならない場所があるんじゃないでしょうか?』
それは、すべてを知っているからだ。
ライマ国はクーデターがあった。ウッドロウは国から今は離れ世間をみている最中だ。エステルに関しては、自分のことで国を離れたのだから仕方ない。
『それに、ここにはいるときにアンジュがたまにあそこに戻ってもいいといってくれました。私は他の国から侵略されるような最悪を予想する方がおかしいと思います。まるで貴方たちは弱者を見下しているように見えますが。』
「っそんなつもりはございませんわ!!」
『えぇ、そうでしょうね。私も思ってませんよ。けれど、それは私の考えであって、あなた方がどれだけ手をさしのべても一部では弱者を見下し、優越感にしたる王族に恨みを持つものもいるかもしません。無理強いするものでもないですよ。』
それは彼女が下町にいて思ったことだった。
確かに手をさしのべてくれる貴族もいたが、それを嘲笑う貴族もいた。
「あいつら食べ物にあんなに必死になってるぜ」「これだから庶民は」と笑う貴族がいた。
それを聞いたらいったい彼らはどう思ってしまうんだろう。
あの優しさを、疑うようになってしまっては本末転倒だというのに。でも、実際に、「かわいそうだと」笑われるよりはましだと、総思ったのだ
しんっとした空間に、『気分を害してしまってごめんなさい。私は与えるモノだから与えられることになれてないんです。』と寂しそうにシルヴィアは笑った。
チンっとオーブンの音がなる。
それにシルヴィアを立ち上がってそのオーブンのもとへといった。
なぜ、彼女はあんなにも堂々としているの?
それは、エステルの純粋な疑問。
今はキッチンでオーブンに向かったその背中。やはり料理をしているからか今はポニーテールにして長い髪を団子に散らばらないようにしていた。
オーブンが開けば美味しそう香りが立ち込める。
目の前に出されたのと同じ、アップルパイ。
自分と違って、彼女は料理が出来る。戦うことも、意見をはっきり言うことも、できないことがないくらい。
「彼女、羨ましいですわ。」
「そうだね。私たちでは届かない民の声をきっとたくさん聞いてきたんだろう。ディセンダーとして、一人のヒトとして。私たちではできないこともきっとたくさんできるんだろうな」
ずきっと心がいたくなる。
どうして彼女はこんなにも、他人を引き付ける魅力を持っているのか。
ずるい、ズルイ、ずるい
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