--拝啓クラトス・アウリオン様--
お手紙ありがとう。
その後どうお過ごしでしょうか?
…といっても一度しかお会いしたことのない私が聞くこともあれですが…
先日はアドリビトムのこと、世界の情勢のこと、いろいろなことをお手紙につづって下さりありがとうございます。
ギルドメンバーが増え、にぎやかになるとやはりアウリオンのような静かを好む人にとってうるさく感じてしまうのかななんて考えてみます。
手紙にいただいた赤い煙のことですが…ガルバンゾでもその噂を耳にします。
この周辺では出た、ということは聞きませんが大国の星晶の強奪の話も…おそらく、敵国にウリズン帝国のいるガルバンゾにいるからだとは思いますが
ヒトの欲…噂はとても怖いと改めて感じました。
どうか、体を壊さぬようお気を付けください。
星晶のほかに私は今、不審な人たちの存在を見ています。
もしかしたら、近い将来とんでもないことを起こすかもしれません。
今ガルバンゾ自体にはあまりいませんが、ガルバンゾから少し離れた森の中で研究をしています。改めて、何かを作る大変さ、人の温かさが身に染みました。
アドリビトムの中では触れられないその世界はとても広いです。
時が来れば、また貴方にあうことになると思います。
私の居場所を、ガルバンゾの「カロル・カペル」という少年が知っ
ているので何か御用の際は彼を訪ねてみてください。
長々と失礼しました。
では、またいずれ。
シルヴィア・ローウェル
*-*Side He*-*
レイヴンという男が私に渡してきた手紙は彼女からだった。
一度目の誓いをひたすら守り、すがる幼い少女。代行者として、見守り続け壊れ逝くさまを見てきたが、初めのころに比べるとずいぶんと大人になったものだと思う。
「どこでも、お前はディセンダーなのだな。」
つぶやきは誰にもききとられることはない。
あの黒に聞かれることが一番厄介だといえるが、あいつは今はこの船から降りているからなんの問題もないだろう。
おそらく、「これ」を最期にしたいあいつから見れば「知る」ことを選びたかったのだろう。「ローウェル」の姓を使った、そのことはおそらく私を試している。
そして最終的に戻ってくるという覚悟なのだろうと…
「時が来れば、迎えに行こう、ディセンダー」
二度目の救いは、彼女がタイミングさえ分かればどうにかするはずだ。それぐらい世界を愛し…ヒトを助けたいと願っている。
そしておそらくそれが彼女がこちらに戻ってくるタイミングでもある。
私はその手助けをしてやる。それだけだ。
ヒトの醜さ、欲望
知らなければいいものを知りたいというその行動に疲れたのなら、あの黒のもとに戻ってくる
おそらく、あの「黒」は、「彼女」を知っている唯一だ。
だが、一つだけ忘れていることは、「ここ」がなによりもお前の家だということだ、シルヴィア
だから、いつでも帰ってこい。
Re20210122
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