ユーリ達がガルバンゾから旅立ち、フレンが私を尋ねてきて少しだった。
きっと今頃アドリビトムに接触しているだろうか、とも考える。実際、今の私にはあまり関係ないのだけれど、それでも世界に行く果を気にするのは性なのだろうか。
ひとけのない森の中。
わずかに感じる世界樹の感覚をたよりに、ここまで来た。理由はひとつ。
私なりにオルタ・ビレッジを作ってみようと思ったから。ただ家を作るにも 植物を育てるにも私には分からないことが多くて…だから、協力者を得て、今がある。
『ありがとうキルさん』
私の声に反応して顔を上げた彼は、ガルバンゾで道具屋の店主をしていた彼だ。
元々、ディセンダーを祀る一族の末裔だと話していたから興味はあったのたが、夜のうちに街を出た私を追いかけてきてくれて、今手伝ってくれている。
彼は私が知らないものをたくさん知っていていろいろものしりだ。
「礼なんて言いよ。オレがやりたいやるからやってるんだ」
彼はそうやって笑うけれど、普通なら…普通の人ならば私なんて気にも止めないだろう、
私は流れものだから
『でも何も知らない私からしたら、ありがたいわ』
「ほんとに ディセンダー様みたいだな」
『そう?』
こうして彼と話すのも当たり前になった。やっぱりアドリビトムだけでは私にとっては狭い世界だ。私は結局何も知らなかったのだから
「にしても、まだこんなに自然のある場所が残ってたんだな…。俺は武器を持てないからこうして外に出ることはないが…驚いた。」
なんて考えていたら、キルさんがそう言った。彼の目は空を見ていて、その目の中には森の緑も見える。ガルバンゾから出てくれば確かに自然はたくさんあるだろう。
きっと 彼が感じているのはそれだけじゃないだろうが…。息をはいて、切り株の上に腰を下ろす。
『ここは、世界樹の根があるから』
それからつぶやくように言えば彼もわらった。
目を閉じれば、世界は今も息をしている。
鳥の声、風に揺れる木々のざわめき、少し遠くから聞こえる水の音
どれも今を生きている
それが何よりも素晴らしいものだと、
そして…私は 一度この世界を捨てようとしたのだと、改めて感じてしまった。
もう繰り返しはしないけれど
「休憩にしようか」
『そうね』
今を生きながら私は明日を願う
私が作る楽園は彼女−ラザリス−の楽園にはならないけれど
Re20210122
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