越後は思ったよりかは寒かった。

俺様にとっては・・


かすがはこの寒さになれているようで平然としてるけれど・・・



『・・・寒い・・・』

「そうか?」

『・・・うん。』



実際問題、俺様は暖かいところが好きだったから。

日光はそんなに好きじゃないけど・・・


なんて、考えていたら少し遠くでホラ貝の音が聞こえた。


それは・・・戦の合図・・・。




「っ佐助・・・」

『・・・ここから家までは?』

「近い・・・」

『なら急ごう。
 巻き込まれるわけには行かない。』



かすがが俺様を呼んだ。
戦は先生と一緒に何度も見てきた。

血なんて、見慣れてる。


でも・・・今はそんな余裕なんて無い。



かすがとともに走り出す。

忍装だから動きやすい。

でも、だんだんと馬のひづめの足音が近づいてくる。



『っかすが!』

「後少しだから!」

『ダメ!!かすがとまって!!』




もうすぐ、この雪を越えれば、




そこで、やっと俺様は気がついた。

戦場なのに、いないほうがおかしかったんだ。



声を張り上げ手を伸ばした。


あと少し、あと少し・・・



でも先に動くのは何の影?



ひとつの銃声。


かすがの悲鳴。




黒に近い俺様たちとは対照的な白の装束が横を駆けていった。





執筆日 20130128






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