紫陽花の花を摘んできた。
確か、紫陽花の花は乾燥させれば解熱剤に仕えるって前に先生に教えてもらったしね。


それからエビツルの実。
すっぱいけど、疲労回復には丁度いいと俺様は思う。


それから小連翹。
これも乾燥させれば止血と、鎮痛に仕える。



つかえるかなぁなんて思って摘んできたけど・・・勝手に遠くまで行っちゃったから怒られるかな・・・


はぁっとため息をついて、乾燥させる為に準備をする。

まだ、先生は帰ってこない・・・



『(先生・・・)』


うーっとうなってみても帰ってこないことは分かってるからやんないけど・・・
でも、ため息を付いた。


大分、人間らしくなってきたなぁっておもうけれど・・・でも、先生が居ないとつまんないし・・・







「佐助殿。」

『んー?』


それから時間がたって、そろそろ暗くなってくる頃に俺様のところにシュタっと降り立った先生の忍。

視線を向けないで、そう言う。

先生の忍が来るときは大体、先生は今日帰ってこないっていうときだけだ。


寂しいけど・・・。



「今日、終夜殿は」

『あー、うん、帰ってこないんでしょう・・』

「・・・そうです。」

『終夜殿に、俺様のことは心配しないでって言っておいて。』



我慢しなくちゃ・・・。


なんて思ってはっとした。


そうだ、アレをもってってもらおう。
なんて思って、『まってて、』って言って、家の中に入る。


それから今日とってきたエビツルの実をいれた袋を持ってきた。



『エビツルの実、疲労回復にいいって言ってたし、終夜殿に渡しておいてよ』

「ハッ」

『それから・・・道中気をつけてね』



シュっと目の前から消えたその人にふぅっと息を吐く。

それから家の中に入った。




今日は、先生帰ってこない。

だったら俺様が起きている意味なんて無い。


だって、一回翌朝まで寝ずに頑張ってたら先生に怒られて、その日は修行つけてもらえなかったからね・・・




『・・・さみしーよー・・・先生・・・』




呟いた声を、誰も拾うことは無いんだけど・・


呟かずには居られないんだよね・・・




執筆日 20130117






×