そんな顔をさせてるのは、俺様のせい?
俺様が先生を苦しめてるの?

でも、それで、先生が揺らいでくれるなら・・・・っ



『先生、先生、俺様を一人にしないで・・・っ』

「・・・、佐助。」

『俺様の、気持ちが届いたんならっ』



止まらない、

その涙が、先生を濡らしていく。


けれど、スッと、頭の後ろに手が回されて、しっかりと視線があう。



先生のその目には、涙をボロボロ流す俺様が居て、



距離が縮まって、













零になった。









『んっ・・・』



思わず、震えた。
触れるだけだった

けれど、スッと一度髪が撫でられて、目を細めた。



「俺も」



けれど、先生のその言葉に、目を見開けば、「つむってたほうが、よかった」なんていわれて、再び、触れ合う。


けれど、今度はすぐに離れなくて、

身長差で、完全に不利で、逃げることなんで出来ない。





舌が絡み合って、唾液が混じり、息が苦しい。






でも、酷く心地よくて、先生がここに居るって、そう、思えた。







『ふ、ぁ・・』

「・・っ・・」

『は・・・ぁ・・・はぁ・・はぁ・・・』




やっと離れたときには息絶え絶えで、ぽろりっとさっきとは別の涙が流れた。



『せ・・んせ・・・』

「ごめん、ごめんな、俺は、こんなことを思っちゃいけない。」

『ね、先生・・っ逝かないで・・・っ』



その涙を、先生は舐め取って、その感触に身震いがしたけれど、でも、言葉を紡いだ。

そうすれば、今度はさっきと違う。



「・・・佐助、これが最後だ。


 揺るがないから『思い』なんて言葉がある、揺らいだら、それはもう、『思い』じゃない。」

『え・・・』



修行をしているときのような、そんな目で、しっかりと、いつもの「先生」の顔で、言った

「思い」は揺るがないための?


きょとん、っとしてしまったけれど、トンっと、俺様を布団の上に降ろして、先生は見下ろした。

けれど、すぐに離れる。



『っあ、ま、って!』

「佐助・・」

『先生、だったら・・・だったら・・・っもう行かないでって言わないから、
 だから、俺様を先生の「物」にしてよっ

 先生に、俺様は使役されるから・・・っだから・・・っ』



それ以上の言葉は、言うことを許されなかった。
先生が、酷く、優しい目をしていた。

酷く、甘く、優しい目を・・・




「佐助、もうすぐ大切な人が現れるよ。
 俺よりも、ずっと良い人だ。

 佐助を一生愛して、守ってくれる人。

 だから、佐助、


 
 
 佐助も、その人の為に全てを捧げな」

『せ、せんせ・・・?』

「俺の元へ、来てくれて、ありがとう。」





ゆらり、っと視界がゆれた。

先生は、微笑んでる。


笑っている、



なんで、俺様だけ泣いてるの?


っだめじゃん、いっつもわらって、送り出してるんだから・・・っ



「お前に、会えてよかったよ」

『っれ、さまも・・ひっく・・・先生に会えて、よかったっ』



最後に、額にふれた暖かい感触



すぐに離れて、シュンっと風が吹いた。


灯ってたろうそくが消えて、たった一人の部屋になる。






『う、ひっく・・・ぅ・・・あぁ・・ぁぁぁあああ!!!』








もう、俺様が追いかける人は、いない・・・








先生の・・・もうすこし傍へ行くことができたら・・・








俺様は、もっともっと、先生の傍に、心の中に、




居ることができましたか?






執筆日 20130126






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