ポンポンっと、背を撫でるようにいつものようにあやしてくれる先生。
やさしいのに、今の俺様には酷く苦しい。


だって、だって・・・


このままじゃ・・・先生は・・・



「どうしたんだ、佐助。」

『俺様、聞いたんだ・・・っ
 先生達は、囮で、あいつらは、先生をっ・・・っ先生達を・・・っ!』

「うん、知ってる。」

『ならっ!!』



俺様の言葉は、考えどおりの先生の言葉に消される。
思わず、見上げれば、先生は柔らかく微笑んでいた、

いつもみたいに、


「佐助、俺たち忍は人じゃない。
 誰かに使役されればその人の「物」だ。」

『っ!』


その言葉に、目を見開いた。
でも、先生は、俺様の目から流れる涙をゆっくりと拭い、頭を撫でてくれた。

ほんと、なんでこんなに涙腺ゆるんでんの・・・っ?




『せんせ・・・っごめ・・・そんなの、そんなの、知ってる、知ってるけど・・・っ
 ねぇ、先生、わがまま、言って良い・・・?』

「ん?」



困らせることを、全部全部、承知で。
ぎゅぅうっと、先生の肩に顔を埋めた。


「佐助?」

『俺様、先生のこと、好きなんだ。
 好き、好きなんだ、好きなんだよぉ・・・先生・・・先生・・・っ!!』


そして吐き出した言葉は、ずっとずっと我慢していたその言葉。
でも、言わなくて、離して、壊れて、後悔なんてしたくない。

ずっと、ずっと、その言葉を言いたかった。



「・・・佐助・・・」

『憧れでも、家族としてでも無いんだっ
 俺様は、先生が・・・っ猿飛終夜っていう忍が、一人の人が・・・っ』

「っもう、良い。」



名前が呼ばれて、押さえ切れなくて、

勘違いされたくなくて、伝わって欲しくて、収まらなくて、



でも、拒絶のような、そんな言葉とともに、きつく、きつく、先生の腕の中に閉じ込められた。



ドクドクと、嫌に自分の心臓が鼓動している。
そんなの・・先生に知られたくないのに・・・っ


苦しくて、肩を押してみるけど、先生は腕を解いてくれない。



『くる、しいよ、先生・・・っ』

「っ、なんで・・・っ」

『せん、せ・・?』


先生の髪がくすぐったい。
でも、小さく呼んだら、スッと距離が少しだけ離れた。


先生と、視線が合う。



はっとした。



今まで見た中で、一番、苦しそうな、



そんな顔をして、先生は、俺様を見ていた




執筆日 20130126






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