小さなその子を個別の部屋に寝かせて、仕事をしていた。
かれこれ、2日たったが目覚める気配は無い。


けれど、しっかりと息はしているから、大丈夫だろう。


ただ、あれだけ精神が衰弱していれば・・・何が起こるかわからないが・・・




『あぁぁあああああ!!!!!!』

「!」



なんて、思ってたら絶叫。

聞き間違いの無い、あの子だ。


もしや、敵か?

だが、気配はなかった。



だったら・・・



嫌な予感がする。



「どうしたっ!」



パンっと障子を開いた瞬間、焦点のあっていない目が、俺を捕らえる。
そして、手近にあったからか、枕を俺に投げてきた。


だが、交わすことはしない。


部屋にあるものを、俺に投げつけてくる、
目が、完全に拒絶している。





『お前が、俺様を生かした!!
 ふざけんな!俺様は死にたかった!!』




そして、あるものを見つけた。
それは、部屋の棚に置いてあった、短剣。

乱暴にそれを取り、鞘を飛ばした。


あの子が、あそこで生きていた、ということは少なからず、戦い方は知っているんだろう。



「落ち着け!!」

『っ黙れぇええ!!』




でも、今は、気が狂っている。
何を言っても、聞いてくれないのは百も承知だった。

だから、抵抗はしない。



ヒュっと、空気を切るその刃は、俺の左の腕の肘下までを斬った。

コレぐらいの痛みならば、あのことがある俺にとっては、まだ、優しいものだった。



刀を握っているその手首を掴み、小さな身体を抱きしめて、倒れるように座る。
手首に少し、力を入れれば、簡単に刀はたたみに刺さった。


ちゃんと、この子は生きてる。



「大丈夫。俺は何もしないよ。」

『っくそ、離せ!!』

「離さない。」



完全に、小さな身体を抱きしめて、斬られてしまったほうの手で、あやすように背を撫でた


少しでも、俺のそばが安心だってわかって、心を開いて欲しい。




執筆日 20130124






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