男はずっと俺様にくっついてくる、


なんでって思うけど、当たり前だ。

俺様は武器を持ってるから、自分が殺されないようにってことだろう


さっさと殺せばいい。


そうしたら俺様にさく時間だって、なくなるだろう。



「なぁ、お前名前は?」



そう男が俺様に聞いたのは、ここに来て3週間目ぐらいのことだった。


名前・・・なんだっけな・・・そういえばそんなのがあった。


でも・・・


「っと・・・」


しゅっとクナイを投げればひょいっと交わしたけれどピッと頬が切れた。
けれどへらっと、笑った。


「俺は、猿飛終夜な」

『・・・』

「お前は?」

『・・・別に名前なんて要らないでしょ
 お前が俺様を殺すか、俺様がお前を殺すんだから・・・』


男は、猿飛終夜なんて名乗った。
自分が名乗れば俺様が名乗るとでも思ってんだ、甘いね。

クルクルと手元でクナイをまわす。


それからぱしっと手に取った。
男はただそんな俺様を見ている。

二人っきりの部屋は酷く静かだ。



『さっさと、殺すか、殺されてよ、
 猿飛終夜。


 あぁ、そうだ、俺様のこと、名前で呼べないと不便だよね

 だったら「化け物」って呼べばいいよ。
 その代わり呼んだら殺す。』


だから、ニコッと笑ってそう言ってやった。


そうだそうだ、俺様あそこじゃ名前なんて父さん達にしか呼ばれてなかったじゃん。

だからいいんだよ、こいつになんて教えなくてさ。

どうせ、もう、呼んでくれるわけ無いんだ





スタスタと歩き出す


投げたクナイを手にとって、再び懐にしまった




執筆日 20130122






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