この男は、俺様を殺す気は無いらしい。
ふざけるな、俺様は死にたい。
っていうことで、この男のかくれ部屋に入り、男の忍具を漁っていた。
どうせ、あの男だって忍だ、毒だって持っているはずだろう。
でも、めんどくさい。
そう思って、一番手ごろなクナイを手に取る。
そして、そのまま首へと持って行こうとしたらぱしっとその手を取られた
『・・・離してくれない?』
この場所には、俺様とこいつしか居ないのは知ってる。
俺様の問いに、いつもとは違う低い声がかけられた。
「離したらどうするんだ。」
『死ぬだけだけど』
「なおさら離せねぇな。」
いつもとは違う。
なんで、こいつは俺様にこんなに執着する。
意味が分からない。
なら・・・
『ねぇ、俺様も忍もどきなんだよ・・・』
もう片方の手で、散らばっているクナイを掴み投げた。
それに、驚いたようだったけど、そのクナイは確かに男に当たった。
まぁ、頬をかすった程度だったけれど、手の拘束が解けて、離れる。
両手にクナイを取ってタンっと、一気に距離をとった。
「あぁ、分かってるよ。」
『俺様のこと、さっさと殺せばよかったね、』
「そんなこと、思っていないよ。」
さっきよりも、口調は元に戻ってた。
ほんと、喰えないよね、こいつ。
身を低くして、睨む、
でも、そうやっていって、俺様を殺そうとした奴等はたくさん居た。
だから、俺様は絶対に信用しない。
何度も近くにあるクナイを投げる、
でも男は一切交さなかった。
なんで、気持ち悪い。
結局、俺様だけが体力を使い果たし、肩で息をしていれば、近づいてきたその男は、俺様の手からクナイを落として、あの時みたいに、俺様を抱き上げると歩き出す。
『・・にすんだよ・・離せ・・・っ』
「強く掴んで悪かった、
怪我は無いか?」
『そんなの・・・』
なんで、俺様に聞くんだよ・・・
俺様のせいで、あんたは怪我してんのに・・・
執筆日 20130121