ふっと、意識が浮上した。

どうしてか、体がフワフワする、あったかい、
でも、おでこは冷たい

小さくうめいて、それから目を開ければ見慣れない天井。

どうして・・・俺様は・・・ここにいるの・・・?


周りを確認する為にゆっくりと、身体を起こす。
やっぱり、ここは俺様の家じゃない。

ここ・・・どこだ・・・




記憶を探れば、思い出すのは、バカっぽいそんな情景ばっかり、

赤い血溜まり

猿みたいな悲鳴。

きーきーきーきーきーきーきーきー

うるさい奴等は全員殺した。



グシャグシャして、頭を抱える。
あぁ、あの力はなんなんだよ・・・・




『あ、あぁあ・・・っあぁぁあああああああ!!!!!』




頭の中がぐしゃぐしゃする。
なんで俺様生きてるの?


そうだ、


あいつ・・・
        あの男が・・・っ





「どうしたっ!」

『っ!!』

「なっ!!!」



俺様の声を聞いたからか、駆けつけてきたその男に、手近にあった枕を投げつけた。
驚いたような声を上げたが、交わすこともなくボフッと身体にぶつかった、


それから俺様は完全に立って、その部屋にあったものを男に投げつけた。


『お前が、俺様を生かした!!
 ふざけんな!俺様は死にたかった!!』


大きいものは投げられなかった、でも、水を入れてた桶だとか、



そして、見つけた、
部屋に置かれている短剣。


手を伸ばして、それを掴んで、鞘を飛ばす。

俺様だって伊達に、母さんたちを見てたわけじゃない。
殺す事だって、出来る




「落ち着け!!」

『っ黙れぇええ!!』



こんな、気が狂うなんて、思わなかった。

やっぱり、俺様おかしいよ。



乱暴に振り回したそれは男の腕を綺麗に切った。

赤が散る。


散らせたのは俺様。


でも、短剣を握っている手をつかまれて、そのまま抱きしめられた。


大きくて、あったかい。

生きてる。



「大丈夫、俺は何にもしないよ。」

『っくそ、離せ!!』

「離さない。」


スっと短剣が引き抜かれて、俺様は再び丸腰になる。

それでも、男は俺様を殺さなかった。


俺様が斬らなかったほうの腕で、俺様を抱きしめて、

血の流れてるほうの手で、ただ、俺様の背中を撫でていた。



本当に、




この男、おかしいよ・・・。



執筆日 20130121






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