それから二人でしばらく話していれば、佐助の気配がした。

それに、二人して笑って、それから部屋に来るまで待って、佐助が入ってきたら、その背に
かすがちゃんが眠っていた。

どうしたのか、理由を聞けば、日向ぼっこをしていたという。


それからすこし、笑い話をして、そして颯斗はかすがちゃんを抱き上げて帰っていった。

さっき話したとおり、お互いに一緒にいようと、いうことらしい。



颯斗とかすがちゃんが去って、二人きりになった部屋。
佐助はすこし、そわそわしている気がするが、それ以外は普通だ。

出ていくときにともされたろうそくの炎はユラユラとゆれている


『・・・先生・・・』



けれど、俺を呼ぶその声は、いつもどうりだ。

じっと俺を見つめている佐助は、少し黙って、もう一度俺を呼んだ。


だから、手を広げて見せれば、佐助は俺に飛びついてくる。


佐助が、俺に甘えてくることはいつものことだ。



『先生・・・っ先生・・・』


抱きついたまま、俺を呼ぶ。

「どうした」なんて聞けば、『さみしかった』と言葉が返って来た。
可愛い理由だ。



「修行、中途半端でゴメンな。」

『ううん、仕方ないことだからいい。
 先生、もうちょっとだけこのままで居させて・・・』


思い当たることを言えば、否定し、ギュゥッと首に腕をまわしてさらに近くなった。

本当にどうしたのだろう。


ポンポンっとあやすように頭を撫でてやれば、『ありがと・・・』なんて言葉が帰ってくる。


でも、少し涙声な気がした。






なんでわかるかって?






俺は、佐助の笑顔も涙も、ずっと見てきたからな・・・






でも、どうか・・・


俺が消えても、変わらずに笑っていてくれ。


執筆日 20130121






×