「・・・そうか・・・」


颯斗から話されたことは、やはり、軍のことだった。

元々、そんな気はしていた。
俺たちは確かに軍でいい立場に居るが、それでも忍、

草という、低い身分。
こうなることは、予想できていた。


「・・・抗うか?」

「いや・・・」



颯斗の言葉に首を横に振る。

抗ったところで、多分、結果は同じだろう。


俺たちはそういう存在だ・・・


佐助やかすがちゃんが知ったら、きっと・・・悲しむんだろう・・・

ろうそくをつけていない部屋は暗いが、俺の言葉に颯斗は笑った。



「そういうと思ったぜ、終夜ならな」


そして、そう言葉を言う。
あぁ、やっぱりな・・・


「俺も、颯斗はそういうと思った。」



そう思って、俺も笑う。
ずっとそばに居たから、よく分かっていた。

だけれど、主に逆らうことは許されない。

どんな命令でも・・・。


苦笑いしてしまう。

人はいずれ、死ぬ


それが早いか遅いか


ただ、それだけだ。



「・・でも、あいつ等はどうする」



けれど、やはり颯斗もそれが不安だったのだろう。

あいつ等・・・といわれて、一番に思いつくのは佐助とかすがちゃんだ。
二人に、家族は居ない。

そして、俺たちと、彼女達の関係は、少なからず似ている。



幼い頃から、ともに生活し、修行し、同じ道を生きてきた俺と颯斗。

里を飛び出し、二人で軍に入って、互いに競いあい・・・そして、出会った。



俺は、里から見放された佐助に・・・

       颯斗は親に売られたかすがちゃんに・・・



だから、似ていると思うのか・・・それとも否か・・・



けれど、はっきりといえるのは



二人には、忍として生きる道・・・
  そして、ただの人に戻る二つの道があるということ



けれど・・・多分・・・俺の背を見て生きてきた佐助は、俺と同じ、忍を選ぶだろう。


なんて・・・自惚れかもしれないが・・・



「・・・とにかく、入れるときは一緒にてやりたいな・・・」

「・・・同感。」

「俺は、佐助が笑ってくれるならそれでいいから。」




吐き出した言葉に、あぁ、俺も変わったな・・・なんて思う。


佐助が俺の元に来てから、柔らかくなったな、といわれることが、かなり増えたから。


あけた障子から見える庭に、まだ、佐助達の姿はなかった




執筆日 20130121






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